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正常な眼圧の緑内障

 2011年08月11日 10:44

 緑内障は、視野の障害が徐々に起こり、長く放置しておくと失明に至ることもある。これまで眼圧(眼球の形を保つための圧力)が高いために起こると考えられていたが、東京大学医学部付属病院眼科の富所敦男講師は「眼圧が正常な緑内障が多いことが明らかになっている」と話す。

患者数は240万人

 緑内障は、眼球の奥、視神経が脳へ向かって出ている場所(視神経乳頭)の障害で起こる病気だ。

 目が正常に機能するためには、テニスボールに一定の張りが必要なように、一定の眼圧が必要となる。眼圧を一定に保つ働きは、房水という液体が担っている。房水には、角膜や水晶体に酸素や栄養を供給する働きもあるが、眼圧は房水が作られる量と排出量の割合で決まる。

 これまでは、高い眼圧が視神経乳頭を圧迫して、緑内障が起こると考えられていたが、正常眼圧(10~21ミリメートルHg)でも緑内障が多いことが分かっている。2000~02年に行われた「日本緑内障学会多治見緑内障疫学調査」によると、40歳以上の日本人の緑内障有病率は5.8%で、正常眼圧緑内障はそのうちの約6割。患者数は推定約240万人に及ぶ。

進んでも視力は落ちない

 正常眼圧緑内障の初期には、何も自覚症状がない。中期以降になって初めて「見えにくい」「目が疲れる」といった症状が表れ、徐々に視野が狭まってくる。視野は鼻側から欠けることが多い。しかし、この段階になっても、視力は落ちない。長い間に徐々に落ちるが、人によって進行の速度はまちまちだ。

 眼圧を下げると、視野障害の進行が遅くなるので、治療では、眼圧を下げる点眼液を使う。点眼液としては、プロスタグランジン関連薬やベータ遮断薬など、さまざまなタイプがある。点眼液の効果が不十分で、視野障害が進行している場合は、手術も検討する。

 正常眼圧緑内障では、十分に眼圧を下げても視野障害が進行するタイプが約2割ある。こうしたタイプに対しては、現在、血流の改善や神経の保護を目的とした治療薬が研究されている。

 富所講師は「家族や親類が正常眼圧緑内障を発症した人や、強い近視の人は、正常眼圧緑内障になる危険性が高いので、40歳を過ぎたら眼圧検査や眼底検査を受けた方がよいでしょう」と助言する。

2003年7月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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