尿路結石の再発予防、水分とカルシウムを多めに
2011年08月24日 17:36
尿路結石は治療しても再発しやすいが、食事療法で再発を防げるケースもある。帝京大学医学部付属市原病院(千葉県)泌尿器科の正井基之教授は「1日に2リットルの水分を補給し、食事ではカルシウムを多めに取ってください」と話す。
"悪者"はシュウ酸
尿路とは尿の通り道である腎臓、尿管、膀胱(ぼうこう)、尿道のこと。結石は腎臓で作られるが、尿路のどこでも見つかるので尿路結石と言う。成分の約8割はシュウ酸カルシウムで、以前はカルシウムから結石ができると考えられ、食べ物の中のカルシウムはよくないとされていた。しかし、近年の研究でシュウ酸が"悪者"であることが分かった。
ただ、結石ができる過程で、結石の形成を促すタンパク質や、形成を抑える体内のクエン酸、マグネシウムなど、幾つもの物質が関与する上に、シュウ酸の吸収量にも個人差がある。そのため、単純にシュウ酸の摂取量を少なくすれば再発を防げるわけではない。
しかし、尿路結石の多くは食事療法で再発を予防できるので、尿路結石を患った人は、食事に注意した方がよい。
塩分、砂糖も少なく
ごく小さな結石は尿と一緒に体外に排出されるので、再発防止にまず大事なのは、尿を増やすために水分を取ること。目安は1日2リットル、500ccのペットボトル4本分だ。
お勧めは水か麦茶。水はできれば硬水を。シュウ酸の多い紅茶や緑茶は控えめにし、糖分の多い清涼飲料水などは避ける。「ビールで石を流す」というのは大きな間違い。アルコールには、結石の形成を促す働きがあるので量は少なめに。
「食事は1つの栄養素に偏らない和食が理想的。動物性の脂肪や肉類、塩分、糖分の多いものは控えめにする。多めに必要なのはカルシウム。乳製品を積極的に取ることです」と正井教授。
クエン酸を含むかんきつ類や酢も積極的に取る。肝心のシュウ酸は、ホウレンソウに大量に含まれているので、多く食べないこと。また、ほかの野菜にもシュウ酸は含まれているので、取り過ぎないよう注意したい。
2004年1月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)