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子供や高齢者に多い滲出性中耳炎―滲出液たまり難聴に

 2011年12月20日 08:39

 滲出(しんしゅつ)性中耳炎は、中耳に滲出液がたまって起こる病気で、子供やお年寄りに多い。聞こえが悪くなる難聴が主な症状だが、三井記念病院(東京都)耳鼻咽喉科の奥野妙子部長は「鼓膜を切開して、中耳にたまった滲出液を出すと聞こえが良くなります」と話す。

急性中耳炎が契機に

 滲出性中耳炎は、急性中耳炎をきっかけに起こる。急性中耳炎は耳がとても痛くなるという印象があるが、この段階でそれほど痛みがないケースでも、滲出性中耳炎に進むことがある。

 急性中耳炎になると、鼓膜の奥や中耳の部分に膿(うみ)がたまったり、粘膜が腫れたりする。加えて中耳と鼻の奥とをつなぎ、空気の出入りを調整している耳管の粘膜も腫れてくる。このため、空気が中耳に十分に入らず、代わりに粘膜から出る滲出液で中耳が満たされてしまうことがある。その結果、音の振動がうまく伝わらず、聞こえが悪くなる。

 こうした状態が滲出性中耳炎で、耳の痛みや膿の出る耳垂れ、発熱といった急性中耳炎特有の症状はなく、難聴が特徴的だ。

 2~3歳をピークに小学校低学年ぐらいまでの子供に多く見られ、あまり知られていないが、高齢者でもしばしば起こる。

換気チューブ留置も

 滲出性中耳炎の治療は、中耳にたまった液を出すために、鼓膜を切開する。手術は鼓膜に麻酔をするので痛くはない。切開手術は外来でも可能で、手術を終えた途端に聞こえが良くなる。鼓膜は通常は2~3日で元通りに閉じるので心配ない。

 滲出性中耳炎を繰り返す場合は、切開した穴が閉じないように換気チューブ(外径2~3ミリ)を鼓膜に留置する。チューブは鼓膜が良くなったのを見て外す。状態を良くするための飲み薬を服用することもある。

 奥野部長は「子供がテレビの音を大きくするとか、呼び掛けても返事をしないことが多くなったなどの変化に気付いたら、この病気を疑ってください。また、お年寄りの場合、加齢に伴う老人性難聴と思われたり、問い掛けへの反応が鈍いと認知症が始まったと間違えられたりすることもあります」と注意している。

2008年12月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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