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初夏でも起こる熱中症、暑さに順応できず体温上昇

 2012年05月18日 14:48

 重症の熱中症は命に関わる危険な状態。真夏に起こるイメージがあるが、体が暑さに順応できていない初夏にも注意が必要だ。慶応義塾大学病院(東京都)スポーツクリニックの石田浩之氏に、予防法や対処法を聞いた。

痙攣や脱力感

 通常、人間は発汗により過剰な熱を放出することで体温調節を行っている。しかし、「水分不足の状態だと、汗がかけなかったり、気温や湿度が高いと、汗が蒸発しなかったりします。その結果、体が熱を放散できずに体温が上がります。この状態が熱中症です」と石田氏。痙攣や脱力感、目まい、高熱とさまざまな症状を引き起こす。

 熱中症は症状の程度によって3つに分けられる。最も軽症の「熱痙攣」では、発汗により塩分が失われミネラルバランスが崩れるため、筋肉が痙攣を起こす。中等症の「熱疲労」では、水分・塩分不足が原因で血圧が下がり、脈が速くなり、顔面蒼白(そうはく)になる。いずれも日陰などの涼しい場所に移動させて、塩分を含んだスポーツドリンクなどを症状が治まるまで補給すれば大事に至ることはない。しかし、最重症の「熱射病」は別問題だ。

 「熱疲労の段階では発汗があり、体温の過度の上昇は見られませんが、熱射病になると発汗が止まり、体温は40度を超えます。その結果、さまざまな臓器に障害が起こり、意識不明になって死亡することもあります」(石田氏)

増える室内での発症

 予防のためには、水分を小まめに取り、高温多湿の環境や体調の悪い日の運動は避けること。「赤道直下の国の人が熱中症にならないのは、暑さに順応しているから。真夏に起こるイメージがありますが、体が暑さに慣れていない初夏の暑い日の発生も多いので、この季節に突然激しい運動を行うのは避けるべきです」(石田氏)

 また、最近になって増えているのが、お年寄りの室内での発症。部屋の中が暑いのに空調をつけず、水分も取らずにいて、気が付くと熱中症に陥っているというケースが多い。

 石田氏は「暑い日のスポーツ中に、意識のおかしくなった人がいたら、まず体を触ってみてください。異常に熱く、皮膚が乾いていたら、熱射病と考えてすぐに救急車を呼ぶこと。到着するまでは涼しい所に運んで、できれば脇の下や脚の付け根、首の周りを氷で冷やしていてください」と呼び掛けている。

(編集部)

2008年5月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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