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加糖飲料で高まる心臓病リスク―男性4万人対象の米研究

 2012年05月24日 10:29

 心臓病は先進国の主な死亡原因となっており、日本でもがんに次いで死因の2位。肥満、喫煙、運動不足、糖尿病、栄養バランスの悪い食事などが危険因子とされている。米ハーバード大学公衆衛生学部のFrank B. Hu教授らは、男性4万2,883人を調査した結果、砂糖入り飲料の1日摂取量が12オンス(約350ミリリットル)増えるごとに、心筋梗塞などの冠動脈性心疾患になるリスクが約20%高まったと、米医学誌「Circulation」(2012; 125: 1735-1741)に発表した。

中性脂肪など心臓病の指標とも関連

 Hu教授らは、医療関係者を対象とした研究の参加者(男性4万2,883人、年齢40~75歳)について、砂糖または人工甘味料を使った飲み物の摂取と冠動脈精神疾患発症との関連を検討した。なお、加糖飲料の摂取量によって対象者を4つのグループに分けて分析している。

 その結果、1986年1月~2008年12月の22年間にわたる追跡期間中に、冠動脈性心疾患が3,683件発生。喫煙、運動不足、飲酒などの危険因子で調整した後、加糖飲料の摂取量が最も低いグループと比べ、最も高いグループでは冠動脈性心疾患の発症リスクが20%高かった。また、加糖飲料の1日摂取量が約350ミリリットル増えるごとに冠動脈性心疾患リスクは19~25%上昇することも明らかになったという。

 また、心臓病の指標となるさまざまな脂質やタンパク質を測定したところ、砂糖入り飲料の摂取はC反応性タンパク(CRP)、中性脂肪、インターロイキン(IL)-6、腫瘍壊死因子(TNF)受容体1、TNF受容体2の各値が高いこと、HDLコレステロールやレプチンの値が低いことと関連していた。

 一方、人工甘味料入り飲料については、発症リスクも各種指標との間に関連は認められなかったという。

すべての人で砂糖入り飲料消費の抑制を

 同教授は「今回の結果は、砂糖入り飲料が心臓や血管に有害であるという、確立されつつあるエビデンス(根拠となる研究結果)をさらに強化し、患者だけでなくすべての人が砂糖入り飲料の消費量を抑えるべきであることを強調するもの」と結論している。

 米国心臓協会は、砂糖によるカロリー摂取を自由裁量カロリー(1日に必要な最小限の栄養所要量を満たした後に許容されるカロリー)の半分未満に抑えるよう推奨している。この値は、米国人男性ではおよそ1日150キロカロリー以下、女性ではおよそ100キロカロリー程度とされる。

(編集部)

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