運動していない人は汗のかき方が下手?
2012年09月25日 12:00
運動をあまりしていない人は、運動をしている人に比べて汗のかき方が下手だというのは本当ですか? 私は身長167センチ、体重56キロ、ウエスト72センチですが、他の人の3倍ほど汗をかきます。運動経験はほとんどありません。
nobu(男性 50代)
本当です。体を動かす習慣のある人の方が上手に汗をかくことができます。
汗は、体温を調整する上で重要な役割を担っています。体温調整のための汗はエクリン汗腺から出され、99%の水分と1%の塩分でできていて、さらっとしています。体温が上がったときは皮膚の血管が拡張して、血流を増やして熱放散を高めようとするだけでなく、汗をどんどん出して蒸発させる時の気化熱で熱を放散して体温を下げようとします。暑い夏や運動後など体温が上がったときに汗をかくのは、このように体温調整のため必要かつ大切な機能なのです。
しかし、現代ではエアコンの普及や交通手段の発達などによる運動不足から汗をかく機会が減っています。汗をかく必要が少なくなったことで、汗腺の働きが低下し、上手に汗をかけなくなってしまっている人が多いのです。
上手に汗をかけるようにするためには、エアコンを控え、日頃から体を動かす習慣を身に付けることが大切です。
運動が苦手という方は、エレベーターやエスカレーターを使わずに階段を使ったり、買い物に行くときちょっと遠くの店まで足を延ばしたり、遠回りをしたり、通勤や通学のときに一駅手前から歩いたりと、日常生活の中で工夫をしてみましょう。少しずつ、無理なく続けていくことで、汗を上手にかけるようになります。
また、体を動かすときに絶対に忘れてはいけないのが、水分補給です。水分が不足した状態で活発に動くと、十分に汗をかくことができず、熱中症になってしまう危険性がありますので、注意してください。
中野 里美(なかの さとみ)
1990年、東京女子医科大学卒業後、慶應義塾大学医学部内科学教室に入局。都立広尾病院、国立病院機構栃木病院などを経て、2007年から三菱UFJニコス株式会社診療所勤務。同社において初代統括産業医として、社員の健康管理を行っている。日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会専門医、日本医師会認定産業医、労働衛生コンサルタント。