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真珠腫性中耳炎―あかのようなものの塊できる

 2013年02月13日 12:01

 中耳の炎症が長期にわたって続く慢性中耳炎の中で、よく見られるものに慢性穿孔(せんこう)性中耳炎と真珠腫性中耳炎がある。真珠腫性中耳炎について、昭和大学医学部(東京都)耳鼻咽喉科の小林一女・准教授に聞いた。「手術が必要になる病気」だと言う。

背景に滲出性中耳炎

 真珠腫性中耳炎は、鼓膜の一部が奥の方に袋状にへこんで、あかのようなもの(表皮)がたまり、真珠腫と呼ばれる塊ができる病気。一方、慢性穿孔性中耳炎は、中耳の炎症を繰り返すことで鼓膜に穴が開く病気だ。

 真珠腫性中耳炎の原因の一つに、中耳の粘膜からにじみ出る液体が中耳にたまる乳幼児期の滲出(しんしゅつ)性中耳炎が治り切らない場合があるといわれている。

 真珠腫性中耳炎では、細菌感染を起こすと臭いのある耳漏(耳だれ)が出ることがあるが、初期にはこれに気付かない人もいる。進行すると、真珠腫から放出されるサイトカインという物質などで骨が溶かされ、さまざまな症状が表れる。例えば、鼓膜の振動を増幅して内耳に伝えている耳小骨が破壊されることで難聴が起こる場合もある。

 あまり多くはないが、平衡感覚をつかさどる内耳が損なわれると目まいを起こす。また、顔の筋肉を動かす神経である顔面神経は中耳を通っており、それを麻痺(まひ)させ、顔の筋肉が思うように動かせなくなることがある。

耳の軟骨移植も

 初期なら、たまったあか(角化物)を取り除けば進行を抑えることも可能だが、中耳の奥深くに進んだ場合は手術が基本。破れた鼓膜を修復し、壊れた耳小骨をつなぎ直して機能を回復する鼓室形成術が行われる。その場合、耳の軟骨やセラミック製の人工耳小骨を移植することがある。さらに、真珠腫が中耳の奥に入り込んでいる場合は、乳突洞削開術という手術を加えて、真珠腫をきれいに取り除く。

 小林准教授は「早期発見というより、予防が大事。子供の時に中耳炎をしっかり治すことです。治り切っていない、という説明を受けていたら、定期的に耳鼻咽喉科の診察を受けるとよいでしょう」と助言している。

(編集部)

2012年1月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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