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航空性中耳炎、飛行機の下降時に起きやすい

 2013年04月25日 12:30

 飛行機に乗って耳が痛くなったり、詰まって音が聞こえにくく感じたりすることがあれば、注意が必要。3~4日も続くようであれば「航空性中耳炎」の疑いがあり、放っておくと滲出(しんしゅつ)性中耳炎を招いて治りにくくなることがある。老木医院(大阪府)山本中耳サージセンターの山本悦生所長に聞いた。

鼓膜が引っ張られる

 中耳には鼓室と呼ばれる小さな部屋があり、鼻の奥と耳管でつながっている。空気が耳管を出入りすることで中耳と外耳の圧の均衡が保たれており、普段は閉じていて、唾を飲んだり話したりすると開き、圧の調節は自然に行われている。

 飛行機内の気圧は一定に保たれているが、上昇時や下降時には一気に高度が変わるため機内の気圧が大きく変化する。変化が急なために、圧調節機能が対応できなくなって中耳と外耳の圧の均衡が崩れ、間にある鼓膜が内と外のいずれかに引っ張られて起こるのが航空性中耳炎だ。

 「航空性中耳炎は耳管の機能がうまく働かないことが原因で、下降時に起こりやすいのが特徴です」と、山本所長は説明する。

耳管狭窄で難聴も

 飛行機が上昇する時は機内の圧が低くなって鼓膜は外側に、下降時では逆に中耳の圧が低くなって内側に引っ張られて痛みが生じる。また、鼓膜の振動を中耳に伝える鼓室の空気は、常に入れ替わらないと音はうまく伝わらない。音が聞こえにくいのは、一時的に耳管が狭窄(きょうさく)して軽い難聴を起こしているからだという。

 上昇時では、唾を飲むだけでも耳管に空気が通り症状は治まるが、下降時の場合は治りにくい。そのときは、鼻をつまんで唾を飲む、鼻をつまみ口を閉じて息を吐くようにすると耳管が開き、治ることが多い。それでも治らず、3~4日も症状が続く場合は耳鼻咽喉科を受診した方がよいという。急性の耳管狭窄症を起こしていることがあり、中耳に水がたまって滲出性中耳炎になるケースもあるようだ。

 「対策は、着陸の30分ほど前から繰り返し唾を飲む、あめをなめる、飲み物を少しずつ何回も飲むなどするとよいでしょう」と、山本所長は助言している。

(編集部)

2012年7月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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