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禁煙補助薬でアルコール依存症が治る? 有効性示される

 2013年06月07日 11:43

 行動療法と並ぶ禁煙治療の柱として重用されている禁煙補助薬「チャンピックス」(一般名バレニクリン)。2010年の日本発売時には一時、供給が追いつかず広告自粛するほどの人気を呼んだが、この薬がアルコール依存症にも有効な可能性が出てきた。米国立アルコール乱用・依存症研究所(NIAAA)の研究グループが、5月30日発行の米医学誌「Journal of Addiction Medicine」(電子版)に報告した内容によると、チャンピックスを服用したアルコール依存症患者で、1週間のうち大量飲酒する日が顕著に減ったという。

「これまで治療薬と同等の有効性」

 もともとチャンピックスは、アルコール依存症にも関連する「ニコチン性アセチルコリン受容体」を部分的に刺激する作用があることから、アルコール依存症への応用が期待されてきた。米国立衛生研究所(NIH)は、これまでの動物実験や対象が少ない臨床試験などから、この仮説を支持する結果が得られていたと説明している。

 研究グループは、5カ所の施設でアルコール依存症患者200人が登録され、チャンピックス服用するグループ(チャンピックス群)と偽薬(プラセボ)を服用するグループ(プラセボ群)に、ランダムに割り付けられた。

 その結果、チャンピックス群ではプラセボ群に比べ、1週間のうち大量飲酒する日が平均で10.4%減り、1日当たりの飲酒量、飲みたいと思うことなども低下していた(いずれもP<0.05)。喫煙の有無による治療効果の差は認められなかった。チャンピックス群では吐き気や悪夢、便秘が多く見られたが軽度だった。

 研究グループは「今回の研究で示されたアルコール依存症に対するチャンピックスの有効性は、米国で承認されている同依存症治療薬(naltrexone、acamprosate)と同等」と評価。その上で、アルコール依存症への適応を確認するには、今後より長期の有効性に関する検討が必要だろうと述べている。

(編集部)

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