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赤身肉を多く食べる人で糖尿病になりやすい可能性

 2013年06月21日 11:40

 赤身肉が心臓病や脳卒中、動脈硬化などの心血管病になりやすいと指摘されているが、糖尿病(2型)にもかかりやすい可能性が、米ハーバード公衆衛生学部のAn Pan氏らによって6月17日発行の米医学誌「JAMA Internal Medicine」(電子版)に発表された。赤身肉を食べる量が4年間に1日0.5食分を超えて増えた場合、食べる量が変わらなかった人と比べ、その後4年間に糖尿病を発症するリスクが約1.5倍になっていたという。日本からも同様の研究が発表されたばかりで、赤身肉が糖尿病の新しい危険因子としてがぜん注目される(関連記事)。

食べる量少なかった人が増えるとリスク2倍

 Pan氏らは、米国の医療従事者を対象とした3つの大規模研究(HPFS、NHS、NHSⅡ)の参加を対象に、赤身肉を食べる量の変化とその後4年間の糖尿病の関連を調べた。各研究の参加者はHPFSが男性2万6,357人、NHSが女性4万8,709人、NHSⅡが女性7万4,077人だった。

 年齢や糖尿病の家族歴、人種、喫煙、高血圧などの影響を除外して検討した結果、赤身肉を食べる量が4年間でほとんど変わらなかった場合と比べ、量が増えるとともに糖尿病リスクは上昇。1日0.50食分を超えて増加した人の糖尿病リスクは1.48倍だった。また、研究に参加した当初のBMI(肥満指数)や4年間の体重増加の影響を除外しても、リスクは1.30倍と高いままだった。

 さらに、1週間当たりの赤身肉摂取量を2食分未満(低レベル)、2~6食分(中レベル)、7食分以上(高レベル)に分け、研究に参加した当初と4年後の摂取量が「低→低レベル」の場合を基準に検討したところ、「低→高レベル」では糖尿病リスクが1.99倍に上昇。「中→高レベル」で1.87倍、「中→中レベル」で1.37倍、「中→低レベル」で1.19倍、「高→高レベル」で2.10倍、「高→中レベル」で1.69倍、「高→低レベル」で1.78倍だった。

 また、肥満の人で4年間に赤身肉を食べる量が0.5食分増加すると糖尿病リスクは1.14倍だったが、肥満でない人は1.65倍に上った。

食べる量抑えると長期的にリスク低下か

 一方、4年間で赤身肉を食べる量が減ってもその期間の糖尿病リスクは低下しなかったが、12~16年間の糖尿病リスクは4年間で0.5食分を超えて減った場合で14%低下。赤身肉を食べるのを抑えると、長期的な糖尿病リスクの低下につながることが示唆された。

 以上の結果から、赤身肉を食べる量は糖尿病リスクと関連し、その影響は部分的にBMIや体重の変化を介していることが示唆された。肥満の人では関連が弱かったが、Pan氏らは、肥満の人は研究開始前から赤身肉を食べる量が多く、糖尿病リスクがすでに上がっていた可能性があると指摘。赤身肉を食べることで糖尿病になる人数自体は肥満の人でさらに大きく、肥満の人でも赤身肉を制限することは有益と考察している。

 これまでの多くの研究で赤身肉を食べる量が糖尿病リスクに関わることは報告されており、日本人を対象にした検討でも最近、赤身肉を食べる量が多い男性は糖尿病リスクが約1.5倍高いという大規模研究の結果が示されている(英医学誌「British Journal of Nutrition」5月7日付電子版)。

(編集部)

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