頻繁に起こるこむら返りに注意、血管の病気が原因のことも
2013年06月26日 12:09
「こむら返り」は暑い季節に起こりやすい。脱水、疲労、水泳中の寒冷刺激などが引き金になることが多いが、血管の病気が原因になることもある。心配のないケースと病的なケースの見分け方を中心に、山王メディカルセンター(東京都)血管病センターの重松宏センター長に聞いた。病的なケースの一つに、閉塞(へいそく)性動脈硬化症が挙げられるという。
筋肉の収縮異常
こむら返りは筋肉の収縮異常。手や足の指などにも起こるが、圧倒的にふくらはぎ(腓=こむら)に起こることが多いため、こむら返りと呼ばれている。
「日常よく見られるのは脱水などによる電解質のバランス異常、水泳中の寒冷刺激、あるいは激しい運動による疲労などが原因のケースです」(重松センター長)
こうしたケースなら、
- 小まめに水分を補給して脱水に気を付ける
- 急に冷たい水中に入らない
- 運動前後はストレッチを十分にして筋肉を良好な状態に保つ
―といった点に気を付ける。それでも繰り返す場合は注意が必要だ。
「脚の静脈瘤(りゅう)によるうっ血、あるいは閉塞性動脈硬化症で虚血による代謝異常が原因になっている可能性があります」(重松センター長)
歩くとつる
特に閉塞性動脈硬化症は、見逃していると脚だけでなく他臓器に及び、脳卒中や心筋梗塞を併発する危険性が高くなる。
「特徴的な症状は間欠性跛行(はこう)といって、一定の距離を歩くとふくらはぎがつり、歩行が困難になると訴える人が多いのです」(重松センター長)
このほか、
- 片側の脚の筋肉だけが痩せている
- 左右の脚の皮膚の温度が異なる
- 足の爪の伸び方が左右で違う
―などが生じてくるという。
重松センター長は「こむら返りが繰り返し起こる上に、こうした症状がある場合は、念のため血管外科を受診すべきです」と注意を促す。
診断では症状、足の関節の血圧検査、MRI(磁気共鳴画像装置)やCT(コンピューター断層撮影)による画像検査が行われる。
治療は閉塞している部位にカテーテル(細い管)を挿入し、狭くなった動脈を広げて血流を改善するのが基本。閉塞部位が広くてカテーテル治療ができない場合は、人工血管や自分の静脈で新たな血液の通り道であるバイパスを作る手術が行われる。
(編集部)
2012年8月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)