国立がん研究センター(東京都)がん対策情報センターは5月7日、がんに関する最新の統計を同センターの情報サイト「がん情報サービス」に公開した。2010年に新たにがんにかかった人の数は80.5万人で、部位別は男性で胃がん、女性で乳がんが最も多かった。また、罹患(りかん)率と死亡率は男性の方が女性より高かったという。
日本人で最も多いがんは? 最新情報を公開―国がん
schedule 2014年05月13日 公開
男性の9人に1人が胃がんに
2010年の新規がん患者は、2009年の77.6万人から2.9万人増の80.5万人。しかし、同センターは、がんが増えているわけではなく、登録される症例数が増え、これまで把握できなかったがんも数えられるようになったからではないかとの見解を示している。
というのも、この統計は精度の基準を達成した都道府県のデータに基づいて推計しており、基準を満たした都道府県は2003年の13カ所から2009年には32カ所に増加。登録される症例数も増え、より精度の高い推計となっている。なお、2016年には「がん登録推進法」が施行されることで患者の登録が義務化され、推計ではなく実数で集計されるようになる予定だ。
部位別では、男性で胃、肺、大腸、前立腺、肝臓の順、女性で乳房、大腸、胃、肺、子宮の順で、男性は2005年、女性は2003年から変わっていないという。生涯がんにかかる危険性は、2人に1人の割合。部位別では、以下のようになっている。
- 男性
- 胃がん(9人に1人)
- 肺がん(10人に1人)
- 大腸がん(11人に1人)
- 前立腺がん(12人に1人)
- 女性
- 乳がん(12人に1人)
- 大腸がん(14人に1人)
- 胃がん(18人に1人)
膵臓がんの5年生存率は7%
男女別では、10万人当たりで男性が750.9人、女性が513.0人と男性の方ががんにかかりやすかった。部位別でもほとんどで男性の方が割合が高く、女性の方が多かったのは甲状腺がんのみ。がんによる死亡率も、女性の方が多かったのは皮膚がんと甲状腺がんのみとなっている。
また、2003~05年にがんと診断された人の、5年間の生存率(国民全体との比較)は男性で55.4%、女性で62.9%。部位別では、膵臓(すいぞう)がんが男性7.1%、女性6.9%と最も低く、胆嚢(のう)・胆管がんがそれぞれ22.5%、19.9%、肝臓がんが28.7、26.2%と続いた。なお、肺がんの生存率は男性で25.0%だったが、女性では4割を超えていた。
一方、前立腺がん(93.8%)、皮膚がん(男性88.8%、女性93.0%)、甲状腺がん(男性87.0%、女性93.7%)、乳がん(89.1%)は5年生存率が8割を超えていた。男性でかかる割合が最も高い胃がんの5年生存率は、64.2%となっている。
部位別5年相対生存率(カッコ内は%、男女の並び、太字は罹患率1位)
- 前立腺がん(93.8)
- 皮膚がん(88.8、93.0)
- 甲状腺がん(87.0、93.7)
- 乳がん(89.1)
- 喉頭がん(76.0、74.6)
- 子宮がん(75.0)
- 膀胱(ぼうこう)がん(76.5、64.4)
- 大腸がん(70.3、67.9)
- 腎臓などのがん(66.9、63.3)
- 胃がん(64.2、61.5)
- 悪性リンパ腫(54.9、63.1)
- 口腔(こうくう)・咽頭がん(51.7、62.9)
- 卵巣がん(55.0)
- 白血病(35.4、39.8)
- 食道がん(32.3、41.3)
- 肺がん(25.0、41.0)
- 脳・中枢神経系のがん(32.0、33.4)
- 多発性骨髄腫(34.0、31.2)
- 肝臓がん(28.7、26.2)
- 胆嚢・胆管がん(22.5、19.9)
- 膵臓がん(7.1、6.9)
(編集部)