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一般女性に広がる喉のクラミジア、性風俗従事者と同等か

 2014年07月29日 10:30

 性感染症、いわゆる性病は性器から性器にうつるものだけでなく、性器から喉(咽頭)、喉から性器、喉から喉へとうつるものもある。その一つである咽頭クラミジアは、海外では男性同性愛者に多いが、日本ではある種類の性風俗産業の女性従事者で多く認められている。ところが、産業医科大学医学部泌尿器科の濱砂良一講師らが調査したところ、一般女性が咽頭クラミジアに感染している割合が、性風俗産業に従事している女性とあまり変わらないことが分かったという。この報告は、6月18~20日に福岡市で開かれた日本感染症学会と日本化学療法学会の会合で発表された。

20歳未満女子学生の5.5%が喉に感染

 クラミジア感染症は、日本で最も感染者の多い性感染症といわれており、男女問わず感染する。男性の場合は尿道が多く、症状は膿(うみ)や排尿痛、かゆみなど、女性は子宮頸(けい)管(子宮の入り口)に感染することが多く、おりものが増えたり、不正出血があったり、性交のときに痛みがあったりなどが主な症状。しかし、男女ともに症状を感じることが少なく、気づかないまま相手にうつしてしまうことがある。

 それだけでなく、クラミジアは性器から喉(咽頭)にうつることがある。フェラチオやクンニリングスなどのオーラルセックス(口腔=こうくう=性交)が原因のことが多く、提供サービスの性質上、ファッションヘルスなどと呼ばれる種類の性風俗産業に従事している女性で感染率が高いことが知られている。濱砂講師は、2004年の調査(「日本性感染症学会誌」2004; 15: 127-134)から、こうした女性で6.88%で咽頭クラミジアにかかっていることが分かっていると紹介した(性器クラミジアは19.1%)。なお同じ調査では、ソープランドと呼ばれる種類の性風俗産業に従事している女性の感染率は、咽頭クラミジアが0%、性器クラミジアが8.33%だったとも報告されている。

 ところが、2006年の報告(「Japanese Journal of Antibiotics」2006; 59: 35-40)では、子宮がん検診を受けた20歳未満の女子学生229人の5.2%が咽頭クラミジアに感染していることが分かった(性器クラミジアは7.9%)。濱砂講師は、感染率はソープランドに従事している女性より高く、ファッションヘルスに従事している女性とあまり変わらないことが示唆された、と報告している。

オーラルセックスでもコンドーム使用を!

 この原因として、オーラルセックスが広く一般に定着したことが挙げられる(関連記事:オーラルセックスで性感染症、無症状で気づかないことも)。例えば、女性がフェラチオをした場合、男性器から女性の喉に感染する可能性と、女性の喉から男性器に感染する可能性がある。さらに、ディープキスでも感染する可能性があるという。なお、濱砂講師らの調べでは、クラミジア性尿道炎で病院を訪れた男性の5.5%で咽頭クラミジアが認められ、淋菌性尿道炎で受診した男性の19.8%で咽頭淋菌が認められたとされている。

 これを防ぐには、オーラルセックスでもコンドームや食品用ラップフィルムを使うことなどが挙げられるが、性器同士に比べてオーラルセックスでの予防の意識が高くないことから、さらなる拡大が懸念されている。クラミジアに感染しているとHIV(エイズウイルス)に感染しやすいほか、女性では不妊の原因にもなるとされ、事態は深刻といえるだろう。

 また、性器クラミジアと比べて咽頭クラミジアは抗生物質が効きにくいといわれている。濱砂講師によると、子宮頸管で100%除菌できる抗生物質でも、咽頭では80%にとどまることがある。さらに、淋菌については薬が聞きにくい種類(耐性菌)も増えており、咽頭感染のまん延によって耐性化が助長されるという悪循環が懸念されるという。

(編集部)

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