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女性の1割以上に性交痛か、粘膜トラブルだけが原因でない

 2014年10月09日 06:00

 性交の時に痛みを感じる人が、女性の1割以上にいる可能性が示された。女性医療クリニックLUNAグループ(横浜市)の関口由紀理事長は、9月18~20日に岡山市で開かれた日本排尿機能学会の会合で、同グループの女性泌尿器専門の外来クリニックを受診した人の14%で性交痛を訴えていたと報告した。性交痛の治療を目的に受診した女性は9.5%だったことから、関口理事長は性交痛に悩む人が予想以上に多く隠れている可能性を指摘。さらに、粘膜のトラブルだけでなく、骨盤底(股を支える部分)の障害も性交痛の原因になると紹介した。

クリニック受診した女性747人を調査

 関口理事長らは、2013年8月~14年2月に女性泌尿器専門のLUNA骨盤底トータルサポートクリニック(横浜市)を初めて受診した747人に対し、性交痛に関するアンケートを行った。

 その結果、性交痛に悩んでいる人は14%に上ることが分かった。一方で、受診した目的で性交痛を挙げたのは9.5%にとどまり、性交痛で悩んでいても受診しない人が一定以上いる可能性が示された。また、受診目的は骨盤底障害(腹圧性尿失禁、過活動膀胱=ぼうこう、骨盤臓器脱)が36.2%と、粘膜障害(間質性膀胱炎、慢性骨盤痛症候群)の35.2%と同等で、粘膜障害だけなく、骨盤底障害も性交痛の主な原因になることが示唆された。

 なお、慢性疼痛を合併している割合が高く、外陰部の痛みを訴える人が最も多かった。年齢や体重、出産回数と性交痛の関連は認められなかったという。

骨盤底トレーニングが有効か

 関口理事長の施設では、粘膜障害によるものと骨盤底障害によるものの両方の性交痛に対し、まず骨盤底のトレーニングを中心した治療を行っている。同グループの施設で骨盤底トレーニングによる治療を受けた17人では、痛みの度合い(VAS)や性機能(FSFI)が改善したという。

 この効果について関口理事長は、トレーニングで骨盤底筋群が強化されたことにより、(1)筋肉を緩めることを自分でコントロールできるようになった、(2)骨盤底筋群の血流が良くなり、とどまっていた痛みを生み出す物質が排出されるようになった―が性交痛の軽減につながったと考えている。

 骨盤底トレーニングで効果があまり得られなかった場合、粘膜障害による性交痛には市販のエストラジオールクリーム(女性ホルモン軟こう)を外陰部に塗り、骨盤底障害による性交痛にはTFS手術を行うことが、いずれも有効性が認められているという。

 関口理事長は「性交痛の合併率が14%というのは、欧米とほぼ同じ頻度。しかし、性交痛を主訴に受診した患者は9.5%と少数だったことから、日本では女性の性機能障害患者が数多く潜在し、特に、骨盤底障害に関係する性交痛が粘膜障害に関係する性交痛と同程度存在するものと考えられる」と述べた。

(編集部)

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