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食中毒防ぐなら水道水1分流して―飲用水セミナー開催

 2015年06月22日 06:00

 じめじめした梅雨が終われば、今年も暑い夏がやって来る。炎天下、少し動いただけですぐに喉が渇く時期だけに、健康を維持するためには十分な水分補給が重要だ。そんな季節を間近に控え、安全な水選びを目指す研究会「水を考えるプロジェクト」主催のセミナーが6月11日、東京都内で開かれた。同プロジェクトの参画メンバーでもある首都大学東京の矢野一好客員教授(保健学)らが登壇し、食中毒を避けるためには朝一番の水道水は1分程度流してから使うこと、熱中症を防ぐにはコップ1杯の水を8回に分けて飲むことなどをレクチャーした。

熱中症避けるには1日1.2リットルの水分補給必要

 同プロジェクトは、医学・栄養学や微生物学の有識者、ジャーナリストらを中心メンバーとして今年3月に設立された団体。日常生活に欠かせない飲用水の安全性や飲み方、選び方の大切さに気付いてもらうことなどを目的として、さまざまな情報発信をしている。

 今回のセミナーは、これからの季節で必ず話題に上る食中毒や熱中症を避けるためにも、水の安全性について改めて考えてもらおうというもので、矢野客員教授のほか、同じく同プロジェクトの参画メンバーである日本医療栄養センター(東京都練馬区)の井上正子所長、水ジャーナリストの橋本淳司氏が講演した。

 最初に登壇した矢野客員教授は、近年、食中毒が多い時期は夏から冬へと移動しているものの、細菌性の食中毒が起きるのはやはり夏と指摘。飲用水を原因とする食中毒を避けるためには、(1)朝一番の水道水は30秒から1分程度流してから使う、(2)ペットボトル入りの水は口飲みせず、開封したらなるべく早く飲み切る―ことを心がけるようアドバイスした。

 続いて井上所長は、熱中症を避けるために1日の水分収支バランスで不足する1,200ミリリットルの水分を補給する必要があると説明。具体的には、コップ1杯の水(約150ミリリットル)×8回を目安として、こまめに水分を補給する必要があるとした。

安全な水を次世代に引き継ぐために

 最後に登壇した橋本氏は、日本の各都道府県における水のおいしさと安全性に関する認識度の違いや、ペットボトル水より水道水の方がより多くの水質基準項目をクリアしている点、欧州に比べて日本はミネラルウオーターに対する基準が曖昧なことなどを踏まえた上で、日本の安全な水を次世代に引き継ぐことの重要性について話した。

 かつて、日本では"空気と水はタダ"などといわれ、水は水道の蛇口から飲むのが常識だった。しかし現在では、ペットボトルに入ったいろいろな種類の水がスーパーマーケットやコンビニエンスストアに並び、消費者はそのときどきで好みの水が買える時代となった。だからこそ、自分が飲む水の安全性や衛生面には十分に気を配ることが必要だろう。

(文・写真/萩原忠久)

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