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日焼け止め、SPFだけで選んじゃダメ! 消費者の多くが知らず

 2015年06月24日 06:00

 肌を焼きたくない人にとって日焼け止めは強い味方だが、購入するときにどういった点を重視しているだろうか。塗りやすさ、肌への刺激、無添加、香り...。その中でもUVカット効果は、多くの人が最も重視する項目だろう。こうした中、米国の多くの消費者は、UVカット効果の一つを表すSPF値のみで日焼け止めを選んでいることが、米ノースウエスタン大学医学大学院のルーパル・クンドゥ准教授(皮膚科)らの調査によって分かった。米当局のFDA(食品医薬品局)は、日焼け止めを選ぶ際はUV-Bカット力を示すSPF値だけでなく、肌の老化やがんの原因となるUV-Aをカットする力(日本ではPA値)も参考にするよう勧めている。

SPFとPAの違いは?

 太陽光に含まれている紫外線は、波長の長さによって紫外線A(UV-A)、紫外線B(UV-B)、紫外線C(UV-C)の3つに分けられる。UV-Cはオゾン層が防いでくれるので、人間にとって問題になるのは地上に届いてしまうUV-AとUV-B。日焼けを引き起こすのはUV-Bで、これを防ぐ力、詳しく言うとUV-Bにさらされることで日焼けするのを遅らせる能力を表したのがSPF(sun protection factor)値だ。

 一方でUV-Aは、UV-Bによってヒリヒリと赤くなった肌(サンバーン)を褐色に沈着させる(サンタン)など、シミやシワなど肌の老化(光老化)を引き起こす。また、UV-AもUV-Bも皮膚がんを引き起こす主な原因となっているが、ここで問題なのが、地上に降り注いでいる紫外線のほとんどがUV-Aということ。つまり、SPF値だけが高い日焼け止めでは、日焼けは防げるものの、肌の老化や皮膚がんは防ぎきれないのだ。

 そのためFDAでは、2011年からUV-Bのみを防ぐ日焼け止めにはSPF値のみ、UV-AもカットするものにはSPF値とともに、広い範囲をカバーするという意味の「broad spectrum」と表示することを義務づけた。なお、日本国内の製品は、UV-Aに対する効果をPA(protection grade of UV-A)値として4段階で表している。

 さらにFDAは、SPF値が15以上で「broad apectrum」の日焼け止めを使った上で、帽子やサングラスなど他の紫外線対策もしなければ、日焼けと肌の老化、皮膚がんの全てに対する予防効果はないとしている。

日焼け止め選びの基準はSPFがトップ

 今回、6月17日発行の米皮膚科専門誌「JAMA Dermatology」(電子版)に報告された調査は、2014年に同大学の皮膚科を受診した18歳以上の114人(男性37人、女性73人)を対象に行われた。

 日焼け止めを買う理由で「日焼け予防」(75.4%)と「皮膚がん」(65.8%)が1位、2位だったにもかかわらず、日焼け止め選びの決め手として「SPF値の高さ」を挙げる人が半数近くを占めてトップ。「"broad spectrum"の表示」を挙げた人は34.2%で、「敏感肌用の成分配合」(47.4%)や「水や汗に強い」(43.0%)、「価格」(40.4%)よりも下回った。

 また、SPF値やbroad spectrumが防げる肌への害を正しく理解していた人は、皮膚がん37.7%、光老化7%、日焼け22.8%といずれも低く、SPF値の定義を正しく理解していた人も半数に満たなかった。

日本式の表示で9割近くが正しく判断

 一方、皮膚がん予防には、日焼け止めを使うより日に当たらない方が効果的なことは、ほとんどの人(81.6%)が理解していた。しかし、日焼け止め選びの決め手に「SPF値の高さ」を挙げた人では、この質問に対する正答率が低かったようだ。

 このほか、SPF値に加え、UV-Aカット力を日本のように星の数(4段階)で表示した製品を見せたところ、9割近くの人が防御レベルを正しく判断できたという。そのため、クンドゥ准教授は「日焼け止めの正しい利用を促すには、こうした具体的な表示への変更が望まれる」と指摘している。

(あなたの健康百科編集部)

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