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ホウレンソウやニンジンが失明防ぐ? 米ハーバード大研究

 2015年11月13日 19:30

 体に良いといわれる緑黄色野菜の色素「カロテノイド」だが、失明につながる恐れのある病気も予防する可能性が示された。米ハーバード大学公衆衛生大学院のチューアン・ウー氏らは、米国の医療従事者10万人以上分の研究データを解析した結果、カロテノイドを多く取っている人では、年齢を重ねることで発症しやすくなる重度の加齢黄斑変性にかかる危険度が下がったと、10月8日発行の米国医師会の眼科専門誌「JAMA Ophthalmology」(電子版)で報告した。カロテノイドの中でも特に、ホウレンソウなどに含まれるルテインやゼアキサンチン、ニンジンなどに含まれるα(アルファ)カロテンで関連が強かったという。

加齢黄斑変性とは?

 加齢黄斑変性は老化現象の一つで、見ようとするところが見えにくくなる病気。物がぐねぐねして見えたり、暗くなったりする。日本では欧米に比べて少ないとされていたが、高齢化や生活の欧米化などによって患者が増えており、50歳以上の約1%がかかっているとされる。失明原因として欧米では第1位、日本でも第4位。

 原因は、目の網膜の中心にある「黄斑」という部分が加齢によって変化すること。黄斑の中心部にはゼアキサンチン、周辺部にはルテインが多く、この2つのカロテノイドを取ると、加齢黄斑変性になる危険性が下がるとの研究結果も報告されている。ただし、これまでの研究結果は一貫していなかった。

 そこでウー氏らは、データの精度が高いとされる、米国の女性看護師を対象とした研究(NHS)の6万3,443人と、米国の男性医療従事者を対象にした研究(HPFS)の3万8,603人、計10万2,046人分のデータを追跡調査した。

 追跡調査の期間は前者が1984~2010年、後者が1986~2010年。追跡調査を始めた時点で全員が50歳以上、加齢黄斑変性や糖尿病、心臓病や動脈硬化などの心血管病、がんと診断された人はゼロだった。なお、カロテンの摂取量は、アンケート結果から割り出した。

ルテインとゼアキサンチンでリスク4割減

 期間中に加齢黄斑変性を発症し、視力が20/30(日本の検査法の0.6~0.7相当)以下になったのは2,479人(中等度が1,361人、重度が1,118人)。カロテノイド全体では、摂取量によって5つに分けたうちの最も多いグループは、最も少ないグループに比べて重度の加齢黄斑変性になる危険性が35%低かった。

 カロテノイドの種類別ではルテインとゼアキサンチンが特に関連が強く、摂取量が最も多いグループで40%のリスク減。β(ベータ)クリプトキサンチン、α-カロテン、β-カロテンでも、重度加齢黄斑変性リスクが25~35%下がっていた。

 ただし、中等度の加齢黄斑変性に対しては、どのカロテノイドも関連が認められなかったという。

 以上のことから、ウー氏らは「ルテインとゼアキサンチンを多く取ることは、重度の加齢黄斑変性の危険性を長期的に下げることと関連していた。他のカロテノイドもリスク低下に関連していたことを考えると、カロテノイドを豊富に含む果物や野菜を多く食べるようにすることが、最も高いメリットが得られる可能性がある」と結論している。

(あなたの健康百科編集部)

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