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日差し避けると寿命が短縮? スウェーデン女性調査

 2016年03月30日 06:00

 美容のため、入念な日焼け対策をしている女性は多いだろう。また、紫外線は美容面だけでなく皮膚がんを招きやすいなど健康面でもマイナス点が指摘されているが、一方で日光を浴びる時間が少ないと健康維持に欠かせないビタミンDが不足し、さまざまな病気になる危険性を高めるとの研究結果もある。そんな中、スウェーデン・カロリンスカ大学病院のペレ・リンドクビスト氏らは、日差しを避けていた女性では、積極的に日光浴をしていた女性に比べて寿命が0.6~2.1年短いとする研究結果を発表した。詳細は、3月16日発行の国際医学誌「Journal of Internal Medicine」(電子版)に掲載されている。

喫煙と同等の影響力

 健康のためには、日光をできるだけ浴びない方が良いのか、それとも積極的に浴びた方が良いのか―これについては専門家の間でも意見が分かれている。色白の人が日焼けし過ぎると皮膚がんの危険性が高まることから、白人の多い欧米諸国ではしっかりとした日焼け対策が推奨されている一方、日光を浴びる時間が短いとビタミンD不足となり、骨折やがん、脳卒中、心臓病などさまざまな病気にかかりやすくなる可能性も指摘されている。そのため欧米諸国でも、全く日光を浴びないのも良くないと考えられているようだ。

 リンドクビスト氏らは今回、スウェーデンで生まれた25~64歳の女性2万9,518人を20年間追跡調査したデータを分析した。調査では「季節ごとの日光浴の頻度」「海やプールで泳いだり日光浴を楽しんだりする目的で海外旅行に出かける頻度」なども調べられており、それに基づき日光浴を「全くしない(日差しを避けている)」「ある程度する」「かなりする(積極的に日光浴)」の3グループに分けた。

 その結果、日差しを避けているグループでは、積極的に日光浴をするグループに比べて心臓病を含むがん以外の病気によって死亡する危険性が高く、日光浴の時間が長くなるほどその危険性は低くなることが示された。さらに、日差しを避けているグループでは、積極的に日光浴をするグループに比べて平均寿命が0.6~2.1年短いと推計されたという。

 さらに、喫煙習慣のあるグループとないグループに分けて比べたところ、「喫煙習慣なし+日差しを避けている」グループと「喫煙習慣あり+積極的に日光浴をする」グループでは平均寿命がほぼ同じ長さだったことから、リンドクビスト氏らは「寿命短縮の要因として、日差しを避けることと喫煙の影響力は同等」との見方を示している。

日本人はもっと日光を浴びるべき?

 ただ、以前から懸念されている皮膚がんを発症する危険性は、やはり積極的に日光浴をするグループで高まっていた。この点については、リンドクビスト氏らは「皮膚がんリスクは高まっていても、寿命が最も長かったのは積極的に日光浴をしていた女性たち。心臓病などの病気にかからず長生きすれば、それだけ皮膚がんになる確率も高まるだろう」と説明。「日焼けのし過ぎは良くないが、日光を浴びる時間が短過ぎることによる悪影響の方が大きいのではないか」としている。

 一方で、今回の分析結果はあくまでも「日光浴の頻度」と「寿命」の関係性を示すもので、「日光浴の頻度を増やせば寿命が延びる」という因果関係が証明されたわけではないと強調。「日光浴を好む人は、もともとライフスタイルが健康的で、運動する機会も多い可能性もある」として、他の要因が寿命の延長に影響していることも考えられると説明している。

 この調査は、1年を通じて日照時間が短いスウェーデンに住む白人女性が中心だったため、全ての国や人種の女性に当てはまるわけではない。ただ、日本人は白人と比べて皮膚がんリスクは低いとされていることから、日光による影響を受けやすい持病がなければ、健康のために適度な日光浴の習慣を取り入れても良いかもしれない。

(あなたの健康百科編集部)

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