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女性ホルモン薬での避妊から、うつ病に?

 2016年12月13日 06:00

 子供を迎えようという準備が整わないうちは、望まない妊娠を避けるために避妊が必要だ。日本では、避妊というとまだまだ男性主導のイメージが強いが、諸外国では女性主体の避妊も多く見られる。ピルなどの女性ホルモン薬を使うケースは多いが、女性ホルモン薬は気分に影響を与える可能性も指摘されている。そんな中、デンマークのコペンハーゲン大学の研究グループから、女性ホルモン薬を使った避妊法がうつ病のリスクと関連しているという研究結果が発表された。詳細は、医学誌「JAMA Psychiatry」(2016;73:1154-1162)に掲載されている。

ピル服用で抗うつ薬の使用リスクが上昇

 うれしいことがあればテンションは上がり、嫌なことがあれば落ち込むというように、私たちの気分はその時々の状況によって上下する。しかし、時には、身の回りのできごとに関係なく、気分の落ち込みが続いたり、逆に、やけにハイになって抑えが効かなくなったりすることがある。このように、正常な範囲を超えて気分の変化が一定期間続く場合、気分が障害されている可能性があり、うつ病や双極性障害などと診断されることがある。

 女性ホルモン薬は、気分に影響を及ぼす可能性があると以前から言われていた。しかし、避妊目的での女性ホルモン薬の使用とうつ病との関係は明らかにされていない。

 そこで、研究グループは、避妊目的での女性ホルモン薬の使用と、うつ病の診断および抗うつ薬の使用との関連を検討するため、デンマーク国内の処方薬に関する登録データと国内の全精神科の登録データから、うつ病歴や抗うつ薬の使用歴、不妊治療歴などがない15~34歳の女性106万1997人(平均年齢24.4歳)を抽出し、平均で6.4年間追跡した。

 その結果、女性ホルモン薬による避妊をしていない「非使用群」に比べて、混合ピル(卵胞ホルモン+黄体ホルモン)、ミニピル(黄体ホルモン単剤)の使用群は、抗うつ薬を使用するリスクが1.23倍、1.34倍高かった。

 また、ピル以外では、貼付タイプの避妊パッチ、膣内に装着する膣リング、子宮内に装着し黄体ホルモンを持続的に放出する子宮内避妊システムを使用している群は、非使用群に比べて、抗うつ薬を使用するリスクがそれぞれ2.0倍、1.6倍、1.4倍高かった。

 女性ホルモン薬の使用と関連する抗うつ薬の使用リスクは、年齢が上がるとともに低下傾向が見られた。対象者のうち、15~19歳に限ると、混合ピル、ミニピル使用女性での抗うつ薬使用のリスクは、非使用群に比べてそれぞれ1.80倍、2.20倍だった。

 女性ホルモン薬の使用から抗うつ薬の使用に至るまでの期間は、6カ月後が最も多かった。うつ病の診断に関しては、抗うつ薬の使用リスクと同等か、やや低めの傾向が見られた。

 研究グループは、「避妊目的で女性ホルモン薬を使うと、特に若い女性で抗うつ薬を処方される傾向が強まった。これは、女性ホルモン薬による副作用なのかもしれない」とコメントしている。

(あなたの健康百科編集部)

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