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関連学会が警鐘「運転への影響ゼロ」にNO

 2016年12月27日 06:00

 何らかの精神疾患があり向精神薬を服用している人が自動車事故を起こした―などと聞けば不安になるかもしれない。しかし、闇雲に怖がり、運転を禁止するだけが策ではない。厚生労働省は、このほど、抗うつ薬のセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)を服用している患者に対して、一定の条件付きで車の運転などを許容するよう、薬の添付文書「使用上の注意」の改訂を製薬企業に指示した。それを受け、日本精神神経学会などの関連4学会は、先ごろ合同で声明を発表。添付文書の改訂について、患者の社会生活を中心に考えての決定だと評価した一方、薬が運転に影響しないことを無条件に保証したものではないと釘を刺した。

SNRI 添付文書の改訂を協議

 抗うつ薬や抗てんかん薬などの「向精神薬」を服用した患者で運転技能が低下するといった科学的根拠はないものの、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)という抗うつ薬を除く全ての向精神薬の添付文書では、これまで服用中の患者に車の運転をさせないよう、医師が患者に注意することが求められている。

 しかし、一部の大都市を除いて、車の運転なしには生活や仕事が成り立たないという現実もある。そのため、日本神経精神薬理学会、日本うつ病学会などの関連学会は、SNRIについても添付文書の改訂を求め、厚生労働省などと意見交換を行ってきたという。

 その結果、ミルナシプラン、デュロキセチン、ベンラファキシンというSNRI の3剤について、厚生労働省が添付文書を改訂するよう指示するに至った。

 厚生労働省は今回、SNRIを服用中の患者の自動車運転を一律に禁止するのではなく、SSRIと同様、運転に注意するよう求めることが妥当と判断。車の運転を希望する患者には、医師がSNRIの副作用について十分に説明し、患者が副作用を自覚した場合は運転をしないよう注意喚起することが適切だとした。

患者への注意事項は2項目

 添付文書の変更とともに、患者への注意事項が、厚生労働省から発表された。注意事項として、①これらの薬を服用中は副作用が起こるかもしれないこと、②薬の服用しはじめや用量を変更した時などは、できる限り車の運転を控え、副作用や体調不良を自覚した場合は、絶対に運転しないこと―の2項目が挙げられている。

 今回の添付文書改訂について、関連4学会は「欧米の記載に近い、現実に即した内容だ」と評価。ただし、向精神薬による影響には個人差があることから、「改訂後の添付文書の記載も、運転に影響しないことを無条件に保証しているわけではない」と指摘している。

(あなたの健康百科編集部)

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