ノロより恐い? カンピロバクターに注意!
2017年01月18日 10:30
恐ろしい胃腸炎といえば激しい嘔吐(おうと)下痢を伴うノロウイルスによるものを挙げる人が多いだろうが、それよりも怖いといわれている病原菌があるのをご存じだろうか。1月13日放送のNHK・Eテレ健康情報番組「チョイス@病気になったとき」では、さまざまな感染性胃腸炎の被害と予防法が紹介される中で、最も恐ろしいというカンピロバクターによる感染性胃腸炎が取り上げられた。どうやって感染し、どんな症状が出るのか、その予防法は―。
合併症を引き起こす
感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌などが体内に侵入し、嘔吐や下痢を引き起こす感染症。有名なノロウイルスによるものを恐れる人が多いが、番組ではそれより恐ろしい病原菌として細菌のカンピロバクターが紹介された。
カンピロバクター症の主な症状は、発熱、腹痛、下痢。東邦大学医療センター大森病院(東京都大田区)の中嶋均教授(内科)によると、便の色が緑色になることがあり、さらに血便になることが多いそうだ。カンピロバクターはニワトリなどの家禽(きん)類が持っている細菌の一種で、番組で紹介された症例は生レバーを食べて感染したという。
その症例は点滴と抗生物質の投与を受けて1週間ほどで回復したが、中には合併症が起こるケースもあり、手足の痺(しび)れのほか、最悪の場合には筋肉や末梢神経が麻痺(まひ)して手足が動かなくなり、呼吸麻痺に陥る難病ギラン・バレー症候群を発症する可能性もあるという。これは、カンピロバクターの抗体が神経にダメージを与えるためと中嶋教授は解説した。
ノロウイルスとの見極めが重要
ノロウイルスかカンピロバクターかを診断するには便の検査が必要で、その場合、ノロウイルスは15分程度で判明するが、カンピロバクターは培養で2~3日かかるという。また、下痢や嘔吐など症状は同じだが、ノロウイルスとカンピロバクターでは前述したように合併症の有無などその後の経緯が違うので、早めの診察が肝心だと番組では紹介した。
番組ではこのほか、ノロウイルスの予防法も紹介。二枚貝類を生で食べる際は、衛生管理がきちんとされている物を選ぶのが重要で、それ以外のものは十分に加熱し、調理をした後は他の食品と接触させないこと、使った調理器具は熱湯などで消毒することが大事という。
よく、アルコール消毒をしている人がいるが、ノロウイルスはアルコール消毒だけでは効果がないとされている。丁寧な手洗いをすることが大事で、手洗いの際はせっけんをよく泡立てて、洗い残しが多い指先や指の付け根、手首などをよく洗う、洗い終えた後は使い捨てできるペーパータオルなどでしっかり拭くのがポイントとした。
次回の1月21日放送では、冬に多い入浴事故と低温やけどについて解説し、冬を快適に過ごすための方法を紹介するという。
(萩原忠久)