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【特別企画】希少疾患と闘う人のQOL向上を目指して!

 2017年03月24日 18:30

 世界中で実に7,000種類、約3億5,000万人もの患者が存在する希少疾患。そうした病と闘う患者のQOL(生活の質)の向上を目指して、患者と家族や、その関係者、医療従事者、医薬品の研究開発者、メーカー、そして一般の人々が一堂に会して情報交換や交流を行うイベント「世界希少・難治性疾患の日=レアディジーズデイ(Rare Disease Day、以下RDD)」が、今年も東京をはじめ日本全国35カ所で盛大に開催された。

 このイベントの協賛企業であり、希少疾患の革新的医薬品の開発と提供をミッションとするシャイアー・ジャパン株式会社の提供により、レポートを行う。

毎年2月末日はレアディジーズデイ!

 RDDは閏年であった2008年の2月29日、つまり、4年に1度の「希(まれ)な日」にスウェーデンで始まった活動だ。以降、毎年2月末日に世界中で開催され、昨年は世界中で85カ国以上が参加した。日本では2010年にスタートし、昨年は全国32カ所で2,000人以上が参加する大きなイベントとなった。

 今年は「ふみだそう Leave No One Behind」をテーマに全国35カ所で開催されたが、その1つ、東京大会「Rare Disease Day in TOKYO」(主催:RDD日本開催事務局)が2月28日に新丸の内ビルディング(東京都千代田区)のアトリウムで行われた。

これからの時代は"産・官・学・患"の連携が必要!

 11時に始まったオープニングセッションに登壇したのは、ドキュメンタリー写真家の登竜門である名取洋之助写真賞の奨励賞を受賞した和田芽衣さん。脳や腎臓、肺など全身に腫瘍をはじめとする症状が出る「結節性硬化症」を患う長女との日々や、難病児と家族の会「ニモカカクラブ」を地元・飯能で結成、一昨年からはRDD飯能をスタートさせた経緯などを披露し、「RDDには一緒に闘う仲間を求める人がやってくる。ぜひ皆さんの地元でも開催を検討してほしい」と強く訴えた。

 続いて行われた基調講演では、京都大学大学院医学部医学研究科内科学講座臨床免疫学の吉藤元講師、埼玉医科大学医学ゲノム医学研究センター病態生理部門・部門長の片桐岳信教授、国立精神・神経医療研究センタートランスレーショナル・メディカルセンター臨床研究支援室の中村治雅室長の3人が登壇した。

 希少疾患の多くは、遺伝子の異常に原因があることが多いが、吉藤講師は血管が狭窄・閉塞し、脳や心臓などの重要な臓器に障害を与えたり、手足が疲れやすくなったりする原因不明の「高安動脈炎」を、片桐教授は手塚治虫の人気漫画『ブラック・ジャック』にも登場した、全身の筋肉や周囲の膜、腱、靭帯などが徐々に骨に変わる「進行性骨化性線維形成症(FOP)」を研究していく中で、ゲノム解析によってそれぞれの疾患の原因解明に成功した経緯を説明した。

 そして、最後に登壇した中村室長は、希少疾患の研究開発基盤を整備する仕事に携わる立場から、希少疾患では患者レジストリ(情報)を集めることが重要と話した。「産・官・学の連携は必須だが、"この病気を研究してほしい""この症状を改善してほしい"など、研究に参加し、それを後押しする患者さんの存在も必要不可欠。これからは"産・官・学・患"の時代であり、国民全員が主役です」と指摘した。

希少疾患の患者も一歩踏み出そう!

 午後に入り、筋萎縮性側索硬化症(ALS)と闘う日本ALS協会の酒井ひとみ理事が登壇。全身が不自由ながら、ヘルパーと共に毎日を楽しんでいる酒井理事の様子がスライドで紹介された。また、五十音と数字などが書かれた透明文字盤を視線で指し示して会話するコミュニケーション方法を体験するワークショップセッションが、会場を訪れた聴衆を交えて行われた。

 窓の外がすっかり暗闇に包まれた頃、ステージには全身のリンパ腫が腫脹するリンパ増殖性疾患の「キャッスルマン病」の患者である福島かおりさんと皮膚カフェオレ班・線維性骨異形成症・様々な内分泌異常を主な症状とする「マッキューン・オルブライト症候群」を患う海道志保さん、そして、消化管から肝臓につながる血管(門脈)が欠損しているために肝臓への血流が不足する「先天性門脈欠損症」と闘う6歳の娘の父親・藤原健次さんの3人が登場し、それぞれの体験談を報告した。

 2人の女性はそれぞれ、希少疾患を患ったことで一度は絶望のふちに落とされながらも、同じ病と闘う仲間や支えとなる家族や友人、医師たちとの関係の中で笑顔を取り戻すことができた経緯を笑いを交えて話した。また、患者の父親という立場にある藤原さんは、娘の病気を告知された際、インターネットで調べても全く病気の情報がないことに愕然としたという。今では自ら情報を発信しながら、似た症状の希少疾患患者と情報交換をしているそうだ。

 海道さんが「大変なことだらけで不安しかないけれど、悩んでいても仕方がない。悩むのはやめて、できることをしていこう」と患者会の設立を決意したと打ち明けた。すると、すでに患者会を立ち上げた福島さんは「難病は遺伝子の突然変異。明日、明後日、大切な家族が突然難病になるかもしれません。誰もが難病になる可能性があることを心にとどめて、(患者を)温かい目で見守って欲しい」と話し、会場からは暖かい拍手が上がった。

その後、クロージングセッションとして、2016年11月に国連で設立会議が行われた希少疾患領域における国際連携を加速させるための「NGO Committee for Rare Diseases」の紹介が行われた。聖路加病院の日野原重明名誉院長らからのメッセージも上映され、およそ10時間に及ぶRDDのイベントが幕を閉じた。

 RDD日本開催事務局の西村由希子氏は、「国内におけるRDD2017は、過去最大の35地域にて公認開催が実施され、RDD東京には述べ2,000人にご来場いただきました。今年のテーマである『ふみだそう~Leave no one behind~』の言葉どおり、各々の立場から第一歩を踏み出すきっかけとなるイベントが開催でき、例年以上に知識や想いだけでなく、楽しさも持ち帰っていただけたように感じます。希少・難治性疾患領域の啓発活動は続けていくことに最大の意味・意義があります。来年度以降も、理解促進に向け、地域・主催者に適した規模で開催してまいります」と話した。

(提供:シャイアー・ジャパン株式会社)

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 シャイアー・ジャパンでは、いろいろな希少疾患のwebサイトを運営しているほか、来月4月17日の「世界血友病デー」に合わせて、当日19時より、公開webセミナー「先輩患者さんからのメッセージ」を開催する予定だ。

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