飲む? 飲まない? 妊婦のインフル薬
2017年04月17日 06:00
妊娠中に体調が悪くなっても、おなかの赤ちゃんへの影響を考えて薬を控えるという人がほとんどだろう。確かに、妊娠中の服薬はできれば避けたいところだが、薬を使わずに体調が悪化することの影響も無視できない。薬を使うべきか避けるべきか―悩ましいところだ。スウェーデンのカロリンスカ大学病院などの研究グループが行った研究によると、タミフルやリレンザなど「ノイラミニダーゼ(NA)阻害薬」という種類の抗インフルエンザウイルス薬を妊婦が使用しても、新生児への悪い影響が増加することはないという。研究の詳細は、2月28日発行の医学誌「BMJ」(電子版)に掲載されている。
69万8,056人のデータを解析
研究グループは、2008~10年に妊娠154日以降で生まれた子どものうち、妊娠中にNA阻害薬を処方された母親から生まれた5,824人と、非処方の母親から生まれた69万2,232人のデータを解析。妊娠中のNA阻害薬の使用により、新生児に出現する好ましくない症状や先天奇形への影響について調べた。
好ましくない症状の現れるリスクを比較したところ、薬剤処方群は、非処方群に比べて、低出生体重が0.77倍、新生児の仮死の度合いなど出生時の状態を示すスコアの低値が0.87倍、早産が0.97倍、子宮内発育不全が0.72倍、死産が0.81倍、新生児死亡が1.13倍など、いずれも統計学的に大きなリスクの上昇は見られなかった。また、妊娠初期のNA阻害薬服用による先天奇形のリスクにも上昇は見られなかったという。
研究グループは、今回の研究結果について、「これまでに報告されてきた研究結果と同様、NA阻害薬の使用で、胎児や新生児に有害な症状をもたらすリスクが上昇することはなかった」とコメントしている。
いたずらに不安に陥り服薬を拒むのではなく、薬の影響について正しい知識を得た上で、医師と相談しながら対応策を決めていくのがよさそうだ。
(あなたの健康百科編集部)