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南米原住民に学ぶ狭心症、心筋梗塞予防

 2017年05月09日 06:00

 心臓をとりまく冠動脈の内壁にコレステロール(脂肪)などが沈着し血管を狭めると、流れる血液量が減少する。心筋に十分な酸素や栄養素を供給できなくなると、胸痛や胸部圧迫感、背部痛、上腹部痛、肩の痛み、息苦しさ、冷や汗などの症状が現れる。急に冠動脈が完全に閉塞して血流が途絶えた場合、急性心筋梗塞が起こる。その原因には日々の生活や食習慣が関係しているとされるが、生活習慣を変えることは難しいのが現状だ。南米ボリビアのアマゾン川流域に居住するチマネ族の生活様式は、冠動脈疾患の危険性が著しく低いことが示されたと、米国ミズーリ―大学やニューメキシコ大学の国際共同研究グループが医学誌「Lancet」(2017年3月17日オンライン版)に発表した。

1日平均歩数約2万歩ーライフスタイルにみるリスク低下要因

 研究グループは南米ボリビアに住むチマネ族40歳以上の705人を対象に、コレステロール値、血圧、空腹時血糖値、喫煙頻度などを調べた。さらに、CTを使って将来の心筋梗塞を予知する冠動脈石灰化指数(CACS)を測定し、米国の年に住む様々な人種と比較した。

 その結果、約85%の596人には冠動脈の石灰化が認められなかった(CACS:0)。また、CACSが100超の例の比率を他の民族と比較したところチマネ族全体では約3%で、他民族の10分の1だった。80歳時点での割合も他民族では約51%で、チマネ族は約8%と低かった。

 研究グループによると、下記の食習慣、運動習慣が狭心症や心筋梗塞のリスクを下げる要因になっているのではないかとしている。

<食習慣>

  • 摂取カロリーにおいて脂質の占める割合が約14%と低い(日本人は脂質の割合は20~30%とされる)
  • 糖分の摂取量が非常に少ない
  • ω3脂肪酸や食物線維を多く摂取している

<運動習慣>

  • 農作業や狩猟、家事、育児などの活動に、1日のおよそ4~7時間を費やしている
  • 日中動かずにいる時間は10%に満たない
  • 1日における平均歩数は、39歳までは約2万歩、40歳以上でも約1万5千歩前後
  • 喫煙習慣がほぼない

  ちなみに、一般的な都市生活を送る人は、起きている時間の半分以上はほぼ体を動かしていないという。

 チマネ族では心臓病の発症要因となる炎症が見られるものの、食習慣や生活習慣により、高血圧、糖尿病、脂質異常症といったリスク要素が低くなり、冠動脈疾患のリスクが非常に低いという。

 チマネ族のようなライフスタイルは、多くの人にとって冠動脈疾患のリスクを避ける手立てとなるだろう。

(あなたの健康百科編集部)

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