例年になく、前倒しで流行「プール熱」
2017年06月21日 06:00
プール熱は咽頭結膜熱とも言い、人にうつる恐れのある感染症だ。例年7~9月にかけて流行する夏風邪だが、今年はいつもと違い早めの流行だという。北浜こどもクリニックの北浜直院長は、「梅雨が明ける頃から患者が急増することが多いので、今後も引き続き注意が必要です」と話す。
プール以外でも感染
2~3歳の子どもはウイルスに対する免疫が十分でなく、プール熱にかかりやすい。大人は子どもに比べて免疫力があるため、たとえかかっても軽い症状で済むことが多い。
原因となるアデノウイルスは感染力が強いのが特徴だ。家庭では、タオルなどを共有し、家族間でうつってしまうこともある。感染すると数日のうちに高熱、喉の痛みや腫れ、目のかゆみや充血といった結膜炎の症状が現れる。
通常はプールに入る時期に流行が重なるため、プールでうつると思われがちだが、感染経路は必ずしもプールとは限らない。「手足口病や他の風邪と同様、せきやくしゃみなどで飛沫(ひまつ)感染します。感染力が強いウイルスなので、プールに入らなくても保育園など集団生活の場でうつりやすいのです」と北浜院長は説明する。
夏場もしっかりうがいと手洗いを
ウイルス感染のため、特別な治療法はなく、対症療法が中心となる。喉の痛みが強い場合は、喉越しのいいメニューにして食べやすくするなどの工夫をするとよい。
文部科学省では、症状が治まってから2日間は登校・登園を禁止するよう定めている。学校や保育園、幼稚園への出席には、小児科医による治癒証明が必要だ。北浜院長によると、登校・登園ができるようになれば、プールに入っても問題ないとのこと。
対策の基本は、うがいと手洗いだ。北浜院長は、「インフルエンザなどが流行する冬場は、うがいと手洗いを入念にするのですが、夏場はどうしてもおろそかになりがちです。夏でもしっかりうがいと手洗いをすることが、感染予防につながります」と強調。また、体力が低下するとウイルスに感染しやすくなるため、「たっぷりと栄養を摂って、体を冷やし過ぎないようにしてください」とアドバイスしている。
(比企野綾子)