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こっちの胸にもがん? できやすい乳房とは

 2017年06月30日 06:00

 今や、乳がんは日本人女性の12人に1人がかかるとされ、女性のがんの中では患者数が最も多い。乳がんを発症した人は、もう片方の乳房にもがんができる確率が高いと言われている。こうした中、米国のテキサス州立大学 MDアンダーソンがんセンターの研究グループが、乳腺が密集した高濃度タイプの乳房を持つ乳がん女性は、反対側の乳房にもがんが発症するリスクが高いとの研究結果を発表した。詳細は、6月1日発行の医学誌「Cancer」(2017;123:1935-1940)に掲載されている。

マンモグラフィによる乳がん発見には個人差が

 日本人女性の乳がん発症は、40歳を過ぎると増え始め、40代後半がピーク。そのため、40歳になったらマンモグラフィによる乳がん検診を2年に1度は受けることが勧められている。

 マンモグラフィは、確かに乳がんの早期発見に有用だが、しこりが見つかりやすい人とそうでない人がいる。その差は「乳腺濃度(または乳腺密度)」にあるようだ。

 乳房は脂肪と乳腺組織から成り、その中身によって①脂肪性②乳腺散在③不均一高濃度④高濃度―の4タイプに分けられる。③や④は脂肪に比べ乳腺の占める割合が高い。マンモグラフィの画像では、脂肪は黒く、しこりは白く写る。そのため、乳腺が密集した③や④のタイプでは全体的に白く写ってしまい、しこりがあっても見つけにくくなるという。

乳がん女性680人で検証

 これまでに、マンモグラフィによる乳がん検査で乳腺密度の高い女性は、乳がんの発症リスクが高くなることが報告されている。

 そこで今回、研究グループは、乳腺密度の高い女性が乳がんを発症した場合、もう一方の乳房にもがんが発症する「対側乳がん」発症のリスクが上昇するのではないかとの仮説を立てた。そして、初めてステージⅠ~Ⅲの乳がんと診断され治療を受けた女性を対象に、乳腺濃度と対側乳がん発症との関係について検証した。

 解析の対象は、対側乳がんを発症した229人と、乳がんの発症年齢などが発症集団とマッチした非発症の451人とした。

 4種類ある乳腺タイプのうち、①脂肪性または②乳腺散在を「非高濃度乳房」、③不均一高濃度または④高濃度を「高濃度乳房」と定義した。対側乳がん発症集団での高濃度乳房の割合は60.7%、非発症集団では51.7%だった。

 解析の結果、高濃度乳房の患者は、非高濃度乳房の患者に比べて、対側乳がんの発症リスクが1.8倍高かったという。

 乳がんは、早期に発見できれば治すことのできるがんと言われている。高濃度乳房の女性は、乳がん、そして対側乳がんのリスクが高くなることにも留意して、定期的な検診を心掛けたい。

(あなたの健康百科編集部)

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