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メタボで睡眠時間が短いとさらに危険

 2017年07月06日 06:00

 メタボリックシンドロームは、ただの肥満ではない。内臓の周囲に脂肪が蓄積する内臓脂肪型肥満(内臓肥満・腹部肥満)に高血糖・高血圧・脂質異常症といった動脈硬化危険因子のうち2つ以上の症状が一度に出ている状態をいう。メタボリックシンドロームの人では肥満によって気道が塞がれやすくなるため睡眠時無呼吸症候群の危険性が高まるなど、睡眠の質や量に影響が出てくることが知られている。米国の研究グループが、睡眠ポリグラフで測定した客観的な睡眠時間と脳血管疾患および心血管疾患による死亡リスクとの関連を検討した結果、メタボリックシンドロームで睡眠時間が短い人は、メタボリックシンドロームでない人に比べて死亡リスクが有意に高いと「Journal of the American Heart Association」(2017; 6: e005479)に発表した。

睡眠6時間未満で死亡リスク2倍

 研究グループによると、従来の研究の多くは患者の自己申告によって睡眠時間を評価しており、睡眠ポリグラフによる測定を実施していないため、睡眠呼吸障害などの他の影響を除外できなかったという。

 平均48.8歳の1,344人(男性42.2%)を対象に、睡眠検査室で睡眠ポリグラフによる測定を1晩実施し、平均で16.6年間追跡した。平均睡眠時間は5.9時間であった。

 メタボリックシンドロームの定義は、①肥満(BMI 30以上)②高コレステロール血症(総コレステロール値200mg/dL以上)③高トリグリセライド血症(トリグリセライド値150mg/dL以上)④血糖調節障害(空腹時血糖値100mg/dL以上または糖尿病治療中)⑤血圧上昇(収縮期血圧130mmHg以上または拡張期血圧85mmHg以上または降圧薬服用中)のうち3個以上当てはまる人とした。

メタボリックシンドロームの人は39.2%、追跡期間中の死亡率は22.0%であった。

 睡眠呼吸障害を含む他の疾患などの因子を調整し、解析した結果、メタボリックシンドロームと睡眠時間、死亡との間に関連性が認められた。メタボリックシンドロームではない人と比較したメタボリックシンドロームの人の全死亡は、6時間以上の長時間睡眠グループでは1.29倍、6時間未満の短時間睡眠群では1.99倍であった。同様に、脳・心血管疾患による死亡リスクは長時間睡眠群で1.49倍、短時間睡眠群では2.10倍であった。

血圧上昇と血糖調節障害のあるメタボで顕著な影響

 同じメタボリックシンドロームでも、その人が持っている症状の組み合わせによって死亡リスクは異なった。

 短時間睡眠で血糖調節障害を有するメタボリックシンドロームでは2.2倍、短時間睡眠で血圧上昇を有するメタボリックシンドロームでは2.5倍に死亡リスクが上昇した。

 肥満、高コレステロール血症、高トリグリセライド血症のみのメタボリックシンドローム群では、有意な死亡リスク上昇は認められなかった。

 研究グループは「睡眠時間が短いとメタボリックシンドローム関連の脳・心血管疾患による死亡リスクが上昇する」と結論付けている。

(あなたの健康百科編集部)

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