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DHA食がてんかん発作を予防

 2017年08月25日 06:00

 てんかんは、発作を繰り返す脳の病気で、年齢、性別に関係なく発症する。薬でてんかん発作をコントロールするが、一定の割合でコントロールが難しいケースも存在する。このたび、広島大学大学院をはじめとする共同研究グループは、青魚などに多く含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)を摂取すると、脳内で女性ホルモンの一種である「エストラジオール」の合成が活性化され、てんかんに伴うけいれん発作が抑制されることを、マウスの実験で明らかにした。研究の詳細は、7月24日発行の科学誌「Scientific Reports」(電子版)に掲載されている。

DHA摂取でけいれん発作が抑制

 DHAは、青魚に多く含まれるω(オメガ)-3脂肪酸の一種で、われわれの健康にとって欠かせない栄養素だ。脳の発達にも影響するとされるが、DHAがどのように脳に作用するのか、そのメカニズムには不明な点も多い。

 そこで、研究グループは、脳内の女性ホルモンに着目し、DHAのてんかんに対する作用について研究を実施した。

 離乳直後のマウスを、①通常食(ω-3脂肪酸を含む)、②ω-3脂肪酸を含まない食餌、③DHAを②に混ぜた食餌―の3グループに分け、1カ月間飼育した。

 その結果、③DHAを混ぜた餌をマウスに与えると、マウスの脳内で女性ホルモンであるエストラジオールの量が増加し、②ω-3脂肪酸を含まない食餌では逆に減少していた。

 また、興味深いことに、DHAを混ぜた食餌を与えられたマウス(③)は、薬剤で引き起こされるてんかんに伴うけいれん発作までの時間が明らかに延びていた。

 ところが、脳内のエストラジオール合成を抑える薬をマウスに投与すると、DHAのけいれん抑制作用は失われ、けいれんが悪化した。

 これらの結果を踏まえ、研究グループは、「DHAの摂取が、脳内のエストラジオール合成を活性化させ、てんかんに伴うけいれん発作を抑制していると考えられる」と説明。その上で、DHAの新たな脳内作用メカニズムを明らかにした本研究について、「てんかん発作予防のための薬や食事療法の開発に繋がることが期待される」とコメントしている。

(あなたの健康百科編集部)

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