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透析直後に死亡リスクが高くなる人は?

 2017年09月15日 06:00

 腎臓の働きが低下する腎臓病を放置してしまうと、いずれ人工透析を受けなければ生きられなくなってしまう。日本で透析療法を受けている患者は、2015年12月時点で32万5,000人にも上り、毎年増加している。このたび、テネシー大学などの研究グループが、人工透析に関連する驚くべき研究結果を発表した。人工透析を開始する前の最高血圧が平均140mmHg未満と正常範囲内の人は、透析開始後3カ月以内の死亡リスクが高いという。詳細は、8月発行の医学誌「American Journal of Kidney Diseases」(2017;70:207-217)に掲載されている。

高血圧より正常血圧で高い死亡リスク

 腎臓は、私たちの体の中にたまった老廃物や余分な水分を外に出し、血液をきれいにしてくれる臓器だ。腎臓の働きが弱まり、ほとんど機能しない状態である「末期腎不全」に至ると、腎臓に代わって腎機能の役目を果たしてくれる「透析療法」が必要になる。

 透析療法への移行直後は死亡率が高いとされているが、透析開始前の血圧と、透析開始後の死亡との関係は、これまで明らかにされていなかった。

 そこで、研究グループは、2007~11年に透析に至った米国の退役軍人1万7,729人を、2年間(中央値)追跡。透析開始前1年間に測定した最高血圧の値によって対象者を6分割し、各グループの透析開始後の死亡リスクを調べた。

 その結果、日本では正常値とされる最高血圧120mmHg未満、同120~130mmHg、同130~140mmHgの各グループにおける透析開始後3カ月未満の死亡リスクは、高血圧に分類される同140~150mmHgのグループに比べ、それぞれ2.40倍、1.99倍、1.35倍と、死亡リスクが高かった。

 また、最高血圧150~160mmHg、同160mmHg以上のグループにおける透析開始後3カ月未満の死亡リスクは、同140~150mmHgのグループに比べ、それぞれ0.98倍と0.76倍だった。なお、最低血圧と透析後の死亡との間には、そのような関係は見られなかった。

 研究グループは、「透析開始前の最高血圧低値が、透析開始直後の高い死亡率につながっていた。しかし、透析開始前の最低血圧値には、最高血圧で見られたような死亡率との関連性は見られなかった」と今回の研究結果を振り返り、さらに「透析開始直後の死亡率を改善するのに最適な透析前の最高血圧値はどの程度か―。その理想値を示すには、さらなる研究が必要だ」とコメントしている。

(あなたの健康百科編集部)

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