5~20歳では抗うつ薬の服薬で糖尿病の発病リスクが上昇する
2017年11月01日 06:00
5~20歳の米国人約12万人の調査により、抗うつ薬の服薬が2型糖尿病の発病リスクを上昇させることが分かった。この結果をまとめた研究者は、「今回の研究からは抗うつ薬が糖尿病を発病させるか否かは分からないが、西洋諸国では子どもの抗うつ薬の服薬が増えているので、生物学的メカニズムを解明するための研究が必要」としている。
服薬期間の長さ、服薬量の多さも影響
この研究は、米国メリーランド大学のMhemet Burcu氏らが行った。カリフォルニア州など4州で、2005年1月1日~09年12月31日に抗うつ薬の服薬を開始した5~20歳の11万9,608人の保険データを抽出、解析をした。抗うつ薬は、「三環系抗うつ薬」を代表とする「環系抗うつ薬」、「SSRI」や「SNRI」といった新しいタイプの抗うつ薬、その他の抗うつ薬の3つに種類を分けた。
その結果、SSRI/SNRIを服薬している人は過去に服薬していた人に比べ1.88倍、糖尿病になっていた。環系抗うつ薬でも同様に2.15倍、糖尿病になりやすかった。しかし、その他の抗うつ薬では差が見られなかった。
SSRI/SNRIの服薬期間別にみると、1~90日に比べて151~210日で2.56倍、210日超では2.66倍も糖尿病になりやすく、服薬期間が長いほどリスクが上昇していた。また、抗うつ薬の累積投与量でも、1~1,500mgに比べて、3,001~4,500mgでは2.17倍、4,500mg超では2.44倍と投与量が多いほどリスク上昇がみられた。しかし、その他の抗うつ薬ではこうしたことは認められなかった。
150日超のSSRI/SNRI服薬者に限ると、糖尿病リスクは1日当たりの服薬量が多くなるほど上昇し、15.0mg/日を超えると、それ以下に比べて2.39倍になっていた。
この研究は、医学専門誌のJAMA Pediatr(2017年10月16日オンライン版)に報告された。
(あなたの健康百科編集部)