HPVワクチン、未接種の若い女性にも恩恵!?
2017年12月04日 06:00
子宮頸がんは、子宮の入り口から発生するがんで、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が関係していることが分かっている。若い女性の罹患が増え、HPVへの感染を予防することで子宮頸がんの発症を防ぐワクチン接種の動きが広がっている。米国では2006年に、4つのHPVの型に対して効果を発揮する「四価HPVワクチン」が導入された。導入後のHPVの感染状況について、米国の研究グループが調査したところ、ワクチンを接種していない若い女性でもHPVの感染率が低下していたという。詳細は、10月発行の医学誌「Obstetrics & Gynecology」(2017;130:693-701)に掲載されている。
ワクチン未接種の若い女性でHPV感染率が低下
HPVには100種類以上の型があり、その中にはがんに発展するリスクの高い型がある。高リスクの型のうち4つに対応しているのが「四価HPVワクチン」で、米国では06年に導入された。ちなみに、日本では11年に導入されている。
4価HPVワクチン導入後のHPV感染率の状況を把握するため、研究グループは、米国民の総合的な栄養状態を調べた「全国健康・栄養調査」から09~10年(前期)、13~14年(後期)のデータを抽出して、18~59歳の女性における膣HPV感染率の変化を調べた。また、年齢別に状況の変化をとらえるため、女性の年齢を4つ(18~26歳、27~34歳、35~44歳、45~59歳)に層別化して検討した。
その結果、前期から後期にかけて、接種したワクチンが対応している4つの型のHPV感染率は明らかに低下していた。この低下は、4つの年齢層のうち最も若い18~26歳のグループで顕著だった。
最低年齢グループのうち、ワクチンを接種した集団でのHPV感染率は、前期が3.9%、後期が2.0%だった。
驚くべきたことに、最低年齢グループでは、ワクチンを接種していない集団でも、HPV感染率が前期の19.5%から、後期には9.7%へと明らかに低下した。一方、27歳以上の各年齢層では、ワクチン未接種の集団においては、最低年齢層で見られたような明らかな感染率の変化は見られなかった。
(あなたの健康百科編集部)