ブドウがうつ病に効く?
2018年02月16日 06:00
ブドウ由来のポリフェノールがうつ病の治療薬になりうると、米マウントサイナイ医科大学の研究グループがNat Commun(2018; 9: 477)で報告した。研究により、ポリフェノールが従来の抗うつ薬とは異なるうつ病のメカニズムをターゲットとすることで、症状を軽くする可能性があることが分かった。
ポリフェノールが回復力を促進
米疾病対策センター(CDC)によると、 米国では毎年約1,600万人がうつ病を発症している。従来の薬物療法では患者の約半数は一時的に症状が治まるが、不眠や胃腸障害などの副作用を伴う場合もある。そのため、別のメカニズムで効果を発揮する新しい治療薬が必要とされている。
以前の研究から、ブドウ由来のポリフェノールがうつ症状の抑制に有効であることが分かっていたが、そのメカニズムは解明されていなかった。
今回の研究では、ブドウのポリフェノールからDHCAとオエニンという2つの物質を特定し、生理活性を有するポリフェノール製剤(BDPP)を作製。あらかじめBDPPを2週間食べさせたマウスと、そうでないマウスのグループを用意し、それぞれに強いストレスを10日間にわたり与え続けた。すると、BDPPを与えないグループでは、60%以上のマウスの社交性が低下したが、BDPPを与えたグループでは、社交性が低下したマウスは30%未満だった。
同グループはさらに検討を行って、DHCAとオエニンがそれぞれ末梢神経の炎症およびシナプス可塑性を調整することにより、うつ病マウスにおける回復力を促進すると報告している。
研究者は、「DHCAとオエニンを併用したわれわれの試みは、慢性的なストレス誘発性うつ病に対する回復力を最大限に引き出す相乗的な効果を示した。ブドウ由来のポリフェノールは、うつ病の効果的な治療法の確立につながるだろう」と述べている。
(あなたの健康百科編集部)