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ヒップホップが子どもへの脳卒中啓発に有効

 2018年04月06日 06:00

 誰かが脳卒中を発症したとき、救急車を呼ぶのは主に目撃者である。通報は子どもでもできるため、子どもに脳卒中の啓発を行うことが重要となる。米コロンビア大学の研究チームは、脳卒中の教育にヒップホップの曲を活用した「Hip-Hop Stroke(HHS)プログラム」の有効性を、ニューヨーク市の小学生を対象に検討。プログラムはヒップホップ好きの子どもにとって、脳卒中に関する知識の習得に効果的だと、医学専門誌Stroke2018; 49: 972-979 )に報告した。

子どもから親へ知識が伝わる

 HHSプログラムは、ヒップホップの歌詞と曲、アニメ、ビデオゲーム、マンガなどを用いて子どもに脳卒中の知識を習得させ、親とその知識を共有するように働きかける3時間のプログラム。子どもたちは、プログラムを通じて①脳卒中が疑われる5つの症状②生活習慣の是正方法③救急車の呼び方④親との脳卒中情報共有-などを学習する。一方、比較対照するために設定したグループでは、栄養に関する知識を学習した。

 研究グループは、市立小学校の4~6年生をHHS群と対照群にランダムに割り付け、子どもの脳卒中に関する知識と親との知識の共有を検討した。

 その結果、脳卒中のテストで満点を取った割合は、HHS群ではプログラム開始前の2%から終了直後は57%に増加し、3カ月後も24%が満点を獲得した。一方、対照群ではプログラム開始前の1%から、終了直後に1%、3カ月後に2%と、ほとんど変化は見られなかった。

 親については、脳卒中の早期発見の標語であるFAST〔F(顔の麻痺)、A(腕の麻痺)、S(ことばの障害)が1つでもあったら、脳卒中を疑い、T(救急車を呼ぶ)〕が何を示すのかを答えられたのは、HHS群ではプログラム開始前の3%から終了直後は20%に増加、3カ月後も17%だった。それに対し、対照群ではプログラム開始前の1%からほとんど変化がなかった。

 そして、3年の追跡期間中に、家族が脳卒中を発症したケースが27例あったが、そのうち20例(HHS群14例、対照群6例)で救急医療活動が行われた。発症直後に救急車を呼んだ子どもは4人で、全員がHHS群だった。

 研究グループは「この研究で、HHSプログラムの効果が示された。ヒップホップ好きなマイノリティにとって、ヒップホップ文化に合わせてつくられた教育プログラムは効果的である。このプログラムの特徴は、学校で学んだ子どもを介して、脳卒中の情報を親や祖父母に伝達できるところだ」と述べている。

(あなたの健康百科編集部)

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