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『2時間飲み放題』に潜む危険

 2018年04月10日 06:00

 あちこちで歓送迎会が開かれるこの季節。「2時間飲み放題」を謳い文句に宴会プランを売り込む飲食店も多い。こういったプランでは予算を気にせず一定時間飲酒を楽しめるが、「2時間」の間にイッキ飲みやアルコールハラスメント(アルハラ)による深刻な被害も起こりやすいという。アルコールや薬物などの依存問題に取り組むNPO法人ASKは現在、2018年イッキ飲み・アルハラ防止キャンペーンを実施している。ASKは、これまでアルコールによって健康を損なった若者の多くは、飲み会開始2時間以内に、急激かつ大量に飲酒していたとして、注意を呼び掛けている。

アルコール中毒だけでなく事故やけがも多く発生

 2月下旬から始まったこのキャンペーンでは、「2時間の飲み会、『死』という結末を迎えないために。」というキャッチコピーを記したポスター(写真)やチラシを全国の大学に配布し、「転倒して顔面を強打し鼻を骨折」といった飲酒にまつわるけがの実例や情報を記した啓発用レジャーシートを希望者に配っている。

写真. 2018年イッキ飲み・アルハラ防止キャンペーンポスター

 キャッチコピーに「2時間の飲み会」という具体的な文言を入れたのは、イッキ飲みやアルハラの被害にあいやすい大学生がよく参加する形式だからだという。

 また、短時間で大量に飲酒することをビンジ飲酒(binge drinking)と呼ぶが、アメリカでこの時間を2時間以内と定義していることや、日本でも2時間以内と定義した研究があることを踏まえているという。

 日本でこの研究を実施した筑波大学医学医療系(地域医療教育学)講師の吉本尚氏らは、2時間以内に男性で缶ビール(アルコール度数5%、500mL)2.5本分以上、女性2本分以上飲酒した場合をビンジ飲酒と定義。過去1年間で飲酒による事故にあったりけがをしたりした学生のほとんどが、ビンジ飲酒を経験していたことから、「ビンジ飲酒がアルコールにまつわる外傷と強く関連していた」と報告している。

 イッキ飲みやアルハラというと、アルコール中毒の問題にばかり注目しがちだが、酒席での事故やけがにも注意したい。

 キャンペーンでは、SNSを通じて飲み会でのトラブル、アルコールの知識や問題に関するニュースを配信すると共に、こわかった飲み会の体験談、アルハラ防止のための工夫などの投稿も募集している。投稿や検索は、ハッシュタグ(#)を加えた「#こわい飲み会」で行うことができる。

(あなたの健康百科編集部)

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