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メタボはうつ病への近道!?

 2018年04月18日 06:00

 先ごろ、国立精神・神経医療研究センター(NCNP)神経研究所疾病研究第三部の功刀浩部長らのグループは、インターネットによる大規模調査の結果から、体格指数(BMI)、腹部肥満と糖尿病などを合併するメタボリック症候群、食事や運動などの生活習慣が、うつ病と関連することを明らかにした。詳細は、2月10日のオランダの医学誌「Journal of Psychiatric Research」に掲載されている。

1万人超の大規模調査を実施

 うつ病は、主要な精神疾患の一つで、気分の落ち込みや興味・関心の低下、不眠といった症状が出現し、休職や自殺などのリスクを伴う。世界的な有病率は4.4%とも言われており、およそ20人に1人がうつ病であると推定されている。

 脳の病気と考えられているが、近年、食事や運動などの生活習慣や、肥満、生活習慣病がうつ病の発症リスクと関連することを示す研究結果が増えつつある。しかし、日本人を対象とした検討はほとんどない。

 そこで研究グループは、うつ病患者を含む1万人以上の日本人を対象としたインターネットを使った大規模調査を実施。BMI、メタボリック症候群、食生活・運動といった生活習慣とうつ病との関連について検討した。

 対象となったのは、インターネット調査に参加した日本人1万1,876人。このうち、うつ病になったことがあると回答した1,000人をうつ病群、残りの1万876名を対照群として、心理的ストレスレベルや生活習慣などを評価した。

 その結果、心理的ストレステストの平均点は、うつ病群、対照群でそれぞれ14.1点と9.8点と、対照群に比べ、うつ病群でストレスが強かった。また、うつ病群が肥満(BMI 30以上)になるリスクは、対照群に比べて1.29倍高かった。反対に、やせ(BMI 18.5未満)になるリスクも1.61倍高かった。一方、正常(BMI 18.5~25未満)範囲内の人の割合は低かった。

 研究グループは「うつ病患者では、ストレスによる食欲低下からやせとなるパターンと、ストレス太りになるパターンの2つがあると考えられる」と分析した。

うつ病患者は朝食抜き、間食や夜食を好む傾向が

 メタボリック症候群に関連する病気のうち、脂質異常症と糖尿病を発症するリスクは、対照群と比べてうつ病群で高かった。しかし、高血圧の発症に関しては、そうした傾向は見られなかった。

 食習慣に関しては、うつ病群では、対照群に比べて、朝食をほぼ毎日食べると回答した人が少なく、朝食を食べることがまれであると答えた人が多かった。反対に、間食や夜食をほぼ毎日食べると答えた人は多かった。また、中等度と強度の運動をする人は、対照群に比べてうつ病群で少なかった。

 今回の研究成果から、朝食の頻度が低い、間食・夜食の頻度が高いといった生活習慣や、それと関連する肥満や糖尿病などの生活習慣病が、うつ病と関係していることが明らかになった。

 研究グループは「これまでは、うつ病の治療や予防において、服薬やストレスへの対処などが重要視されてきた。しかし、今回の結果からは、そうした対策に加え、体重の適正なコントロールや生活習慣の改善といった栄養学的アプローチもまた非常に重要であることが示された」とコメント。さらに、「今後は、その重要性を検証するために、さらなる研究を重ねていきたい」との意向を示した。

(あなたの健康百科編集部)

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