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世界初の全陰茎・陰囊移植に成功

 2018年05月16日 06:00

 退役軍人の多くは従軍中の戦闘により、外から見える部分だけでなく見えない部分を含め、体のさまざまな場所に損傷を負っている。米国のジョンズ・ホプキンス大学は、外科と泌尿器外科による移植チームが世界で初めて全陰茎および陰囊の移植手術に成功したと発表した。

皮膚、筋肉、腱、神経、骨、血管を移植

 負傷兵の多くは、爆弾や被弾などにより手足を失ったり、目に見える部位に傷を負っている。しかし、一部の軍人は外からは見えないがより受け入れ難い負傷、すなわち性器の一部または全部を喪失することがある。同大学の再建手術チームは、米国で初めて両腕移植を成功させた実績を持つが、今回は世界初の全陰茎・陰囊の移植を実施した。

 移植チームは今年(2018年)3月26日、アフガニスタンで従軍中に負傷した退役軍人であるレシピエントに対し、死亡したドナーから提供された全陰茎、陰囊(睾丸なし)および腹壁の一部を14時間の手術を行い移植した()。術後、レシピエントは「ひどい苦痛を感じる本当に信じられないような負傷で、受け入れるのは容易ではなかった。術後に目が覚めたとき、私はやっと正常になった。今では自信を持って大丈夫だと言える」と述べたという。

図.陰茎陰囊移植

(Devon Stuart for Johns Hopkins Medicine提供)

チームによると、自身の他の部分の組織から陰茎を再建することはできるが、勃起を可能にするにはプロテーゼ(人工器官)の移植が必要となり、それによって感染率が高くなる。また、軍人は他の部分も負傷していて、利用できる組織がまれであることも多い。そのため、今回はドナーの体の一部を移植したという。

ドナーから体の一部の提供を受けて行う血管柄付き複合組織移植では、皮膚、筋肉、腱、神経、骨および血管を移植することになる。他の移植術と同様に、組織の拒絶反応が起こりうるため免疫抑制薬を投与する。チームは、免疫抑制薬の用量を最低限に抑えるための免疫調整プロトコルを開発したという。

 チームは「患者にとって、今回の移植がほぼ正常な排尿機能や性機能の回復に役立つことを期待する」と展望している。

(あなたの健康百科編集部)

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