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電池誤飲時は受診前に蜂蜜を

 2018年07月09日 06:00

 乳幼児のボタン型電池の誤飲は重篤な消化管障害を引き起こすが、誤飲後に蜂蜜を飲むことで食道の潰瘍が軽減する可能性があると米国の研究グループがLaryngoscope2018年6月11日オンライン版)に報告した。

コイン型リチウム電池が特に危険

 異物誤飲の中でもボタン型電池の誤飲は危険性が高い。電池の放電によりアルカリ性の液体が生成されたり、唾液や胃液により電池が腐食してアルカリ性内容物が漏出すると、食道や胃壁の潰瘍の原因となる。

 最近は、ボタン型電池よりも直径が大きく電圧が高いコイン型のリチウム電池が普及しているが、直径が大きいコイン型電池は食道に引っかかってとどまりやすい。また、高電圧のリチウム電池は急速にアルカリ性の液体を生成するため、誤飲後2時間という非常に短い時間で重篤な潰瘍を引き起こす恐れがある(30分〜1時間という報告もある)。その結果、食道に穴が開いてしまったり、声帯麻痺を引き起こす可能性がある。最悪の場合、敗血症や出血により死亡に至る恐れもある。

 米国では、電池誤飲時の重症例が増加していることが報告されており(Pediatrics 2010; 125: 1168-1177)、コイン型リチウム電池が重症化のリスク因子の1つとされている。日本小児外科学会は、公式サイトでリチウム電池の誤飲について警告を発している(「リチウム電池に関する警告」)。

 蜂蜜によりブタの食道組織の潰瘍が軽減

 研究グループは実験動物(ブタ)を用いて、コイン型リチウム電池を誤飲した際、病院を受診して電池を取り除くまでの間にどのような処置を行うべきかを検討した。一般家庭でよく見かける飲食物(蜂蜜、リンゴジュース、オレンジジュース、スポーツドリンク、メープルシロップなど)を比較した結果、蜂蜜を飲ませることで食道の潰瘍を軽減できることが示された。

 その理由として研究グループは「蜂蜜は弱酸性の食品であるため、コイン型リチウム電池による食道組織のアルカリ化を中和する。また、粘性が高いため電池と食道の間の物理的障壁としても作用する」と解説。「蜂蜜は多くの家庭に常備されている食品であり、受診前に蜂蜜を飲むことで潰瘍を軽減できる可能性がある」と結論している。量と頻度については今後の研究が必要であるとしながらも「現時点では10分間隔で10mL(小さじ2杯)が推奨される」と述べている。

 なお、蜂蜜には乳児ボツリヌス症の危険性があるため、「1歳未満の乳児に蜂蜜を与えてはならず、1歳以上であってもアレルギーに注意が必要」と付言している。

(あなたの健康百科編集部)

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