これまで長らく、妊婦が陣痛誘発を行うと帝王切開につながる可能性が高くなると考えられてきたが、そうではないことを示す研究結果が現れた。米国の研究グループは、健康かつ初産の女性においては妊娠39週目で陣痛を誘発した方が、誘発しないよりも帝王切開率が低下したと発表した(N Engl J Med 2018; 379: 513-523)。
39週目の陣痛誘発で帝王切開率が低下
schedule 2018年08月17日 公開
妊娠高血圧症候群などの割合も低下
帝王切開は適切な状況下では救命の重要な手段である一方、感染症などの重大なリスクを引き起こす可能性もある。そのため、帝王切開につながる可能性があるとされてきた陣痛誘発は、必ずしも進んで選択できるものではなかった。
研究では米国の6,100人以上の妊婦を対象とし、その半数をランダムに待機的管理群(自然分娩を待ち、問題発生時のみ介入する)、残りを計画分娩群(妊娠39週目に陣痛誘発を行う)に割り付けた。その結果、以下3つの結果が得られた。
①帝王切開率は、計画分娩群では19%で待機的管理群の22%に比べ低かった
②妊娠高血圧症候群など割合は、計画分娩群が9%で待機的管理群の14%に比べ低かった
③新生児の呼吸補助率は、計画分娩群が3%で待機的管理群の4%に比べ低かった。
研究者はこの結果について、「妊婦の女性が自身の希望や考え方に基づき、より幅広い選択ができるようになる」とした上で、「当然、全ての女性が39週目で陣痛誘発を行えばいいというわけではなく、個々のケースで陣痛誘発を行うか否か、また、行う場合はいつ行うかを医療者と話し合うことが大切だ」と話している。
(あなたの健康百科編集部)

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