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母乳哺育で母親の将来の脳卒中リスクが低減

 2018年09月12日 06:00

 母乳哺育は母子の健康上、さまざまな有益な効果をもたらすことが、これまでの研究で示されている。今回、米国人の閉経後女性を対象とした大規模観察研究のデータから、母乳哺育歴の有無と脳卒中発症との関係を調べた結果、母乳哺育経験は母親の脳卒中の低リスクと関連することが分かった。研究の詳細は医学専門誌J Am Heart Assoc2018; 7: e008739)に報告された。

長期の母乳哺育によるリスク低下、アフリカ系女性で著明

 米国では脳卒中は65歳以上の全女性における死因の第4位で、ヒスパニック系とアフリカ系女性では死因の第3位を占めている。一方、母乳哺育歴は母親の乳がんおよび卵巣がん、2型糖尿病リスクを低減させる他、心疾患および心臓や血管の危険因子に対して有益に作用するとの報告があり、脳卒中を予防する可能性が示唆されている。

 今回、研究者らは母乳哺育歴の有無とその後の脳卒中リスクとの関連を検討するため、1993~98年にWomen's Health Initiative Observational Studyに登録された閉経後女性8万191人を2010年まで追跡し、データを分析した。研究開始時の平均年齢は63.7歳。重度脳卒中の既往例は除外した。うち母乳哺育歴があったのは4万6,699人(58%)で、その期間は1~6カ月が半数を占め、7~12カ月が2割強、13カ月以上が3割弱だった。登録時に1,244人(1.6%)に脳卒中の既往があった。人種の内訳は、白人83%、アフリカ系8%、ヒスパニック系4%、その他5%だった。

 平均12.6年の追跡期間中に、2,699人(3.4%)が脳卒中を発症した。

 この脳卒中の発症リスクは、年齢や家族歴などの因子を調整すると、母乳哺育歴なし群に対して母乳哺育歴あり群で23%低下していた。

 人種別に見ると、母乳哺育歴なし群に対するあり群の脳卒中リスクはアフリカ系で48%、ヒスパニック系で32%、白人で21%低下した。アフリカ系女性において、母乳哺育による脳卒中リスクの低下が最も顕著だった。

 母乳哺育期間別に見ると、母乳哺育歴なし群に対するあり群の脳卒中リスクは、哺育期間が1~6カ月で19%、7~12カ月で29%、13カ月以上で28%低下した。母乳哺育期間が長くなるほど、脳卒中リスク低下との関連が強まる傾向が見られた。

少なくとも6カ月間の母乳哺育継続を

 現在、米国小児科学会(AAP)や世界保健機関(WHO)は、乳児の健康の観点から生後6カ月間は母乳のみを与え、母乳栄養を1年以上続けることを推奨している。また、米国心臓協会(AHA)は母乳栄養を12カ月間行い、生後4~6カ月以降は十分な微量栄養素を摂取するために他の栄養源を追加することを推奨している。

 研究者らは、「母乳哺育は適度な運動、健康的な食事、禁煙、血圧・コレステロール値・血糖値の適正な管理などと同様に、脳卒中を予防する可能性がある多くの因子の1つにすぎない。しかし、母親は自分と自分の子供が最適な健康効果を得るために、少なくとも6カ月は母乳哺育を継続してほしい」と述べている。

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