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家庭用消毒剤の使用で子供の肥満が増加

 2018年10月10日 06:00

 カナダの研究者らは、CHILDと呼ばれる幼児を対象にした観察的研究のデータを用いて家庭における消毒剤の使用と子供の肥満との関係を検討した。その結果、抗菌・殺菌作用がある家庭用消毒剤を頻繁に使用する家庭の子供は腸内細菌叢に変化が生じ、3歳時の肥満が増加したと、カナダの医学専門誌CMAJ2018; 190: E1097-E1107)に発表した。

週1回以上の使用で腸内細菌叢に変化

 研究者らは、CHILDに登録され生後3~4カ月時に便検査を行った乳児757児について、①消毒剤群、②合成洗剤、③天然素材のせっけん・洗剤などの環境に配慮したエコロジー製品(エコ製品)群の3群で、乳児のBMIおよび腸内細菌叢に与える影響を比較、検討した。BMI25以上を過体重・肥満とした。

 生後3~4カ月時の便検査の結果、少なくとも週1回消毒剤を使用している家庭の乳児では、消毒剤をあまり使用しない家庭の乳児と比べて腸内細菌叢に含まれるラクノスピラ科菌の割合が約2倍に増加した。これに対して、ヘモフィルス属菌の割合は約4割に減少した。

 分析の結果、乳児期の腸内細菌叢に含まれるラクノスピラ科菌の割合の増加は、子供の過体重および肥満と関連していた。

 エコ製品の使用頻度の増加に伴い、腸内細菌叢に含まれるエンテロバクター科菌の割合は約半分に減少し、過体重・肥満のリスクが約半分に減少した。しかし、腸内細菌叢におけるエンテロバクター科菌の割合の変化が過体重・肥満のリスク低下と関連する科学的証拠は見つからなかった。

 合成洗剤の使用頻度が高い家庭では、腸内細菌叢に含まれるエリシペロソリックス科菌の割合が増加した。しかし、合成洗剤の使用と腸内細菌叢の構成およびBMIに関連は認められなかった。

消毒剤を含む乳幼児用ウエットティッシュも

 研究者らによると、80%を超える家庭は毎週またはそれ以上の頻度で、消毒剤を含むクリーナーを使用しており、幾つかの乳幼児用ウエットティッシュにも消毒剤が含まれているという。

 そこで研究者らは、幼児の腸内細菌叢を保護し、体重増加や肥満のリスクを軽減するために、消毒剤の多用を控え、代替品を検討することを推奨している。

 今回、環境に配慮したエコ製品の使用頻度が高い家庭では、腸内細菌叢の構成が変化し、過体重・肥満のリスクが低下したが、腸内細菌叢の変化と過体重・肥満リスク低下を関連付ける証拠は見つからなかった。研究者らは「このような家庭では環境意識が高く、母親がより健康的な食事を心がけ、妊娠中に腸内細菌叢が健康な状態であったことが子供に有益な影響を及ぼしたのかもしれない」と考察している。

(あなたの健康百科編集部)

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