ペットの存在は総合的に健康を改善するといわれているが、アレルギーに苦しむ小児にとっては問題となることがある。ペットの毛やふけは多くのアレルギー症状を引き起こす可能性がある。しかし、米国の医療機関メイヨー・クリニックの小児アレルギー専門医Anupama Ravi氏は「ペットアレルギーは治療が容易で、ペットによる恩恵の方が大きい。アレルギーを理由に、家族がペットを飼うのを妨げるべきではない」と述べている。
ペットによる恩恵はリスクより大きい
schedule 2018年12月04日 公開
ペットを手放すことは勧めない
米国家庭の4分の3では、少なくとも1匹のペットを飼っており、ほとんどは犬か猫だという。しかしペットは、アレルギーを有する小児の生活をつらいものにする場合がある。Ravi氏は「ペットアレルギーは遺伝的素因によるところがあり、小児が重症湿疹などの場合にはペットアレルギーを発症するリスクがやや高まるかもしれない」と述べている。
同氏は「ペットアレルギーの症状の多くは市販の抗ヒスタミン薬で、重度の場合でも処方による抗ヒスタミン薬で治療が可能。ただし、極端な症状が出る場合、小児にはアドレナリン注射を用意しておく必要がある。アレルゲンを少しずつ摂取していくアレルゲン免疫療法もある」としている。もし猫を飼っており猫アレルギーが気になる場合には、HEPAフィルター(高性能のエアフィルター)を搭載したエアコンや空気清浄機の使用も有効だという。
同氏は、患者にペットを飼うのをやめるよう助言することはない。同氏は「アレルギーが引き起こす可能性のある問題よりも、ペットが小児に与える身体的、精神的な恩恵の方がはるかに大きい。ペットは家族の一員である。そのため、私はペットを手放すように勧めることは決してない」と述べている。
(あなたの健康百科編集部)

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