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血中のビタミンD濃度が高い人は持久力も高い

 2018年12月10日 06:00

 米・Virginia Commonwealth University内科のAmr Marawan氏らは、米国民保健栄養調査(NHANES)から血中ビタミンD濃度と全身の持久力が関連するという研究結果を発表した。近年、ビタミンDは骨だけでなく、心臓や脳の血管、筋肉など、さまざまな部位で重要な役割を果たしていることが報告されている。(Eur J Prev Cardiol 2018年10月30日オンライン版)

心肺機能は心臓病や脳卒中の発症を予測する

 運動中の骨格筋に酸素を供給する心肺持久力(全身持久力)は、心臓病や脳卒中の発症を予測する因子の1つである。そのことを踏まえ、2016年に米国心臓協会(AHA)は、高リスクの人は心肺機能を測定するよう勧告した。心肺機能が高いと、全死亡や心血管死亡が低く抑えられることが示されており、そこにビタミンDの関与が推測されていた。

 今回、Marawan氏らは2001~04年のNHANESで、血中ビタミンD濃度と心肺持久力を表す運動中の最大酸素消費量の測定記録がある20~49歳の1,995例(平均年齢33.2歳、女性45%、高血圧13%、糖尿病4%、平均血中ビタミンD濃度59.3nmol/L、平均最大酸素消費量40.1mL/kg/分)を対象に、血中ビタミンD濃度と心肺持久力との関連性を検討した。

 血中ビタミンD濃度によって、①最も低い集団(~35nmol/L)②2番目に低い集団(~50.9nmol/L)③3番目に低い集団(~64.2nmol/L)④最も高い集団(~83nmol/L)―に分けた。

ビタミンD濃度が上昇すると全身持久力が増加

 検討の結果、血中ビタミンD濃度が最も低い集団に比べて最も高い集団では最大酸素消費量が明らかに高く(VO2 max 37.7nmol/L vs. 41.4nmol/L、P<0.001)、明らかな関連が認められた。

 また、血中ビタミンD濃度が10nmol/L高くなるごとに、最大酸素消費量は0.78mL/ kg/分増加することが示された。

 ビタミンDは日光に当たると体内でつくられることから、Marawan氏らは「今回の研究結果は、日照時間が短い地域に住んでいる人にとって、血中のビタミンD濃度を意識するきっかけになった」とも考えている。

 ただし、血中ビタミンD濃度は高すぎてもいけない。血中の値が高すぎると吐き気、嘔吐、虚弱の他、高カルシウム血症を引き起こすこともある。これらの害は、食事からのビタミンD摂取や日光浴では起こりにくい。しかし、サプリメントのビタミンDを必要量以上に飲んだ場合に問題となることから、同氏らは摂取量に注意するよう話している。

(あなたの健康百科編集部)

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