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肥満より怖い「サルコペニア肥満」

 2019年01月07日 06:00

 やせているのに肥満―。高齢者でしばしば見られる「サルコペニア肥満」と呼ばれる病態だ。単なる肥満より転倒や死亡などのリスクが高く要注意。日本老年医学会が昨年12月に公表した「高齢者肥満症診療ガイドライン2018」でも、その重要性が強調されている。

 筋トレと蛋白質摂取を推奨

 肥満は内臓脂肪などの体脂肪が過剰に蓄積した状態であり、日本では「体重(kg)÷身長(m)2」で算出するBMIが25以上の場合、肥満と診断される。肥満は生活習慣病や死亡のリスクを高める。

 一方、骨格筋が減少した状態をサルコペニアと呼ぶ。サルコペニアになると筋力や身体機能が低下し、転倒や骨折、さらには死亡のリスクが高まる。

 一般的に高齢になるほど内臓脂肪は増加し、骨格筋は減少するため、高齢者ではしばしば肥満とサルコペニアが合併した「サルコペニア肥満」が見られる。注意すべきは、サルコペニア肥満の人はサルコペニアだけの人や肥満だけの人に比べ、生活機能の低下、転倒、骨折、死亡をきたしやすいことだ。例えば、ある海外の研究によると、サルコペニア肥満の人は肥満だけの人に比べ、骨密度が低く、大腿骨の骨折リスクが約3倍になるという。

 残念ながら、学会などが定めたサルコペニア肥満の公的な診断基準はない。サルコペニアについては、ヨーロッパの研究グループが作った基準がある。専門的な内容なので詳細は省略するが、歩行速度:0.8m/秒以下、握力:男性30kg未満・女性20kg未満などを目安としている。なお、高齢者ではBMIが低くても、体脂肪が少ないためではなく、骨格筋が少ないことが原因であるケースがあり、注意が必要だ。

「高齢者肥満症診療ガイドライン2018」ではサルコペニア肥満の治療として、適切な運動と食事を推奨している。運動については筋肉トレーニングが、食事についてはカロリー制限だけでなく蛋白質を十分に摂取することが効果的だという。

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