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仕事や人間関係に影響することも...掌蹠膿疱症を知っていますか?

 2019年01月29日 06:00

 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)という疾患をご存知だろうか。皮膚症状の他、関節症状を伴うこともある疾患で、日常生活に深刻な影響を与えることがある。日本には15万人ほどの患者がいるとされる。治療薬を製造販売するヤンセンファーマ株式会社が開催したセミナー(2018年12月)で、日本大学医学部皮膚科学系皮膚科学分野教授の照井正氏と掌蹠膿疱症患者の鈴木久代氏が、治療の現状とこれからについて紹介しながら、患者への理解を訴えた。

仕事を変えざるをえなかったり、精神的なダメージを受けることも

掌蹠膿疱症は、手の平や(掌)足の裏(蹠)に無菌性の小さな水疱(水ぶくれ)や膿疱(水ぶくれの中に膿がたまったもの)が繰り返しできる慢性の皮膚疾患だ。繰り返すうちに水疱や膿疱は硬くなりひび割れ、あるいは赤くなって広範囲にわたって皮膚がぽろぽろと剝けたりする。症状が重くなると、痒みだけでなく、歩くことや入浴が困難なほどひび割れが痛んだりする。足の甲や膝などに症状が出ることがある他、肋骨の関節に痛みが現れることもある。見た目や痛みによって仕事に影響が出たり、人の視線が気になりうつ傾向になる例もある。自然によくなることもあるが、数十年にわたり、症状に悩まされる人もいるという。

新たに保険適用薬が登場!

 治療はこれまで、掌蹠膿疱症の症状を悪化させると考えられている扁桃腺の摘出、歯周病などの治療、アレルギーを引き起こす金属の除去、禁煙や、ステロイドの塗り薬などによる対症療法が行われてきた。しかし、効果はそれほど高くなく、中等症以上の症例では保険で認められた治療薬が少ないというのが現状であった。しかし、2018年11月に、グセルクマブ(販売名トレムフィア®皮下注100mgシリンジ)が保険適用された。免疫に関わるIL-23という分子の作用を止める薬剤で、既に別の皮膚疾患である乾癬の治療薬として使われている。グセルクマブは、偽薬群に比べて掌蹠膿疱症の臨床症状とQOLを有意に改善し、痛みを軽減した。

掌蹠膿疱症は感染しない 患者を理解しよう

 さらに照井氏は、掌蹠膿疱が感染性の疾患ではないことを強調。一方で、手に症状が出ることから、料理人や美容師などが職を変えざるをえないこともあると述べた。約30年治療に向き合い、今は症状が落ち着いているという主婦の鈴木氏も、痛みのために素手で食材や調理道具に触れず、家族の食事の仕度や子育てに苦労したり、臀部などにも膿疱が出来て痒みで眠れないこともあったという。また、足に包帯を巻くため、大きな靴しか履けずおしゃれができなかったことや、そのために視線が気になってストレス障害を発症した体験を紹介した。鈴木氏は疾患への理解を求めると共に、患者に対しては新しい治療薬も出てきており、諦めないでまずは皮膚科医に相談してほしいと思いを語った。

(あなたの健康百科編集部)

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