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男性諸氏、高尿酸血症を軽視しないで

 2019年03月07日 06:00

 高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病は、症状がなくても水面下で健康障害が進み、重大な合併症や死亡の原因となることから「サイレントキラー(静かな"殺し屋")」などと呼ばれる。その"殺し屋"の仲間に入れられたり、入れられなかったり、入れられても末席という扱いなのが高尿酸血症だ。しかし、山形大学公衆衛生学講座教授の今田恒夫氏が行った研究によると、高尿酸血症が死亡に及ぼす影響の大きさは、男性においては高血圧や糖尿病に匹敵することが分かった。

特定健診を受診した約12万人のデータを分析

 血清尿酸値が7mg/dLを超える場合、高尿酸血症と診断される。女性に比べ男性で圧倒的に多い。古くから痛風の原因として知られているが、最近の研究で腎臓病の進行にも関わっていることが明らかになり、研究者の間では心臓病などへの影響も議論されている。

  そこで今田氏は、高尿酸血症が死亡にどの程度影響しているのか、他の生活習慣病などと比較して検討してみることにした。

  検討のために使ったのは、「人口寄与危険割合」という数値だ。これは、ある集団全体の死亡の何%がその原因によるものなのかを示し、この数値が大きいほど死亡への影響が大きいと判断される。

  同氏は、2008年に全国の特定健診を受診した約12万人を対象に、最大5年までその後の死亡状況を調べ、死亡に影響する可能性のある代表的な9項目について、何がどの程度影響しているかを統計学的に分析した。

男性の全ての死亡の22件に1件が高尿酸血症による

 その結果、9項目の中で死亡に影響していると判定されたのは喫煙、糖尿病、高血圧、高尿酸血症の4つで、脂質異常症は死亡に影響していないと判定された。

  全ての死亡に対する人口寄与危険割合は、①喫煙9.4%、②高血圧8.9%、③糖尿病4.8%、④高尿酸血症2.5%と計算され、4つの中では高尿酸血症が最も低かった。

  一方、心臓病や脳卒中などによる死亡については、①高血圧37.%、②喫煙10.4%、③糖尿病6.9%、④高尿酸血症6.6%と計算された。この結果は、心臓病や脳卒中などによる死亡の約15件に1件が高尿酸血症によることを意味し、高尿酸血症は糖尿病と同程度の影響を及ぼしていると考えられる。

  さらに、男女別に計算すると、男性における人口寄与割合は、全ての死亡では①喫煙17.9%、②糖尿病6.4%、③高血圧4.6%、④高尿酸血症4.6%と計算され、高血圧と高尿酸血症の影響の大きさは全く同じであった。心臓病や脳卒中などによる死亡では、①高血圧30.5%、②喫煙18.0%、③高尿酸血症14.3%、④糖尿病9.3%と計算され、高尿酸血症は糖尿病を上回っていた。

 これらの結果は、男性の全ての死亡の約22件に1件、心臓病や脳卒中などによる死亡の約7件に1件が高尿酸血症によることを意味する。

  これに対し、女性における高尿酸血症の人口寄与割合は全ての死亡で1.5%、心臓病や脳卒中による死亡で1.3%と非常に低かった。

  今回の結果を踏まえ、今田氏は「男性は高血圧や糖尿病と同じように、高尿酸血症に注意する必要がある」と述べている。

(あなたの健康百科編集部)

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