イカスミの主成分であるメラニンにアレルギーの抑制効果があることを、中部大学生命健康学部准教授の川本善之氏らが発見した。動物実験でもその効果が確認されており、研究グループは副作用の少ない抗アレルギー薬の開発を目指すことにしている。詳細は、Biochem Pharmacol(2019; 163:178-193)に掲載された。
イカスミからアレルギーの薬?
schedule 2019年04月08日 公開
代表的な抗アレルギー薬と同等以上の効果
メラニンは、イカスミだけでなく動物の皮膚や毛に含まれる黒色の色素。イカスミではメラニンが蛋白質に覆われているため、酵素により蛋白質を除去。メラニンが液体に溶けにくいため研究グループは特殊な溶液も開発した。
アレルギー反応は、マスト細胞がアレルギー原因物質に触れると、アレルギー反応の元になるヒスタミンなどの炎症物質を放出することで起きる。研究グループが開発したメラニン溶液でマスト細胞を処理すると、放出される炎症物質が大幅に少なくなった。その効果は、抗アレルギー薬として使用されているケトチフェンと同等以上だという。顕微鏡観察では、メラニンがマスト細胞の表面を覆い、一部は細胞中に取り込まれていることが分かった。マウスによる動物実験では、マスト細胞の活性化の程度を示す血管の拡張反応を75%抑制できた。
現在使われている抗アレルギー薬には、服用すると眠くなるなどの副作用がある。メラニンにはこうした副作用が少ないと考えられ、新しい抗アレルギー薬として期待されている。
(あなたの健康百科編集部)

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