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生涯で月経のある期間は長い方がよい

 2019年05月03日 06:00

 女性が生涯で認知症を発生するリスクは、男性に比べて50%以上も高いといわれている。それには、更年期における女性ホルモン(エストロゲン)分泌量の急激な低下が影響していると指摘されている。エストロゲンが多く分泌されているのは、初潮から閉経までの月経がある期間(生殖可能期間)だ。この点に着目したPaola Gilsanz氏(米・カイザーパーマネンテ)らは、同社の保険を利用している人を対象に研究を行い、生殖可能期間が短いと認知症発症率が高くなることを明らかにした。研究内容はNeurology2018年3月28日)に掲載されている。

初潮は13歳、閉経は45歳、生殖可能期間は32年

 研究の対象となったのは、1996年1月1日時点で50代以上だった同社の利用者の女性15,754人。1964年から1973年の間に健康調査と健康診断を受けており、中年期(平均51.1歳時)に①初潮年齢②閉経年齢③子宮摘出術の有無-といったアンケートへの回答経験がある人達だ。認知症の発症については、1996年1月1日から2017年9月30日の間の診療記録を参照し集計した。認知症データのフォロー開始時における対象者の平均年齢は76.5歳であった。

 対象者が初潮を経験した平均年齢は13歳、子宮摘出術を行っていない人での閉経平均年齢は45歳だった。平均生殖可能期間は32年で、対象者全体の34%が子宮摘出術を経験していた。また、フォローアップ期間中、対象の42%が認知症を発症した。

 Gilsanz氏らは、これらのデータから喫煙、糖尿病、高血圧といった女性の認知症発症に関わるリスク因子を調整し、月経と認知症発症の関係を調べた。 

ハイリスクは初潮が遅い、月経が早い、生殖可能期間が短い 

 初潮年齢が16歳以上の人では、13歳(平均)の人に比べて認知症を発症するリスクが23%高かった。また、閉経年齢が47歳未満の人は同47歳以上の人に比べて認知症発症リスクは19%高かった。

 生殖可能期間については、34年未満の人では34年以上の人に比べて20%、子宮摘出術を行った人では行っていない人に比べて8%、認知症発症リスクが高かった。

 こうした結果から、Gilsanz氏らは「女性の生涯におけるエストロゲンの分泌量が少なければ、認知症を発症するリスクが高まることが示唆された」と述べた。しかし、「今回の研究ではエストロゲン値が大きく変動する妊娠、ホルモン補充療法、避妊などといった他のファクターについては検討していない」と補足しており、さらなる研究が望まれる。

(あなたの健康百科編集部)

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