筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、意識や体の感覚は正常であるにもかかわらず、全身の筋肉が徐々に衰えていく難病だ。日本には約1万人の患者がいると推定されるが、まだ有効な治療法はない。病気が進行すると、体を動かしたり呼吸や発声が困難になるため、文字盤に書かれた文字を目で追って、他者とコミュニケーションを取る患者もいる。しかし、最終的には眼やまぶたを動かす筋肉も衰え、周囲との意思伝達ができなくなってしまう「完全な閉じ込め状態(Total Locked-in State;TLS)」に至ることがあり、多くの患者がTLSへの恐怖と闘っている。

 そこで、ALS患者の武藤将胤氏が代表を務める一般社団法人WITH ALSと、脳波などの生体信号解析や生体信号を使った商品開発を行う株式会社電通サイエンスジャムは、脳波を利用したコミュニケーションを実現するプロジェクトに挑戦している。6月20日に都内で行われたプレス発表会から、その概要を紹介する(関連記事「ALS患者が自分の声でコミュニケーションし続けるために」)。