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アスタキサンチンがアスリートの疲労を回復

 2019年07月23日 06:00

 エビ、カニなどの甲殻類やサケに含まれるアスタキサンチンは、抗酸化作用と抗炎症作用を持つことが知られている。中でも、持久力を向上させたり筋肉損傷を軽減させる効果はアスリートに対する有効性が期待されるが、日本人トップアスリートでの検討は十分でなかった。東海大学健康管理学の菊地恵観子氏は、大学陸上競技の長距離選手を対象にアスタキサンチンの効果を検討した結果を第19回日本抗加齢医学会(6月14~16日)で発表した。この研究は、アスタリール株式会社と共同で行ったもの。

学生長距離アスリートが対象

 菊地氏が紹介したのは、東海大学陸上競技部中長距離ブロックに所属する男性選手30人(平均年齢19.2±1.1歳)を対象とした比較試験。人数と年齢、5,000m走のタイムが同等であることを条件に、対象をアスタキサンチン6mg/回を1日に2回摂取するアスタキサンチン群とプラセボを摂取する群に15人ずつ割り付け、8週間摂取してもらった。

 試験期間中、参加者は随時日誌を付け、ウエアラブル端末により活動量を測定し、睡眠の記録を取った。試験開始時(0週)、4週後、8週後には採血、検尿、身体測定、問診を行った。0週時の身体測定結果は両群で同等であった。

 問診では、「疲れやすい」「疲労の回復が遅い」「筋肉痛がひどい」「食欲がない」など疲労の内容、度合いについて5段階(1~5点)で評価した。

アスタキサンチンの摂取で疲労が改善

 アスタキサンチン群では摂取率が70%未満であった1例、感冒のため高感度C反応性蛋白(CRP)が高値となった1例の計2例が脱落。アスタキサンチン群13例とプラセボ群15例で摂取前後の問診項目を比較すると、「疲労の回復が遅い」については、プラセボ群に比べアスタキサンチン群で8週後に有意な改善が認められた。「筋肉痛がひどい」「体が重く感じる」の項目では、プラセボ群で0週から8週にかけて悪化していた一方で、アスタキサンチン群では「筋肉痛がひどい」は0週と比べて、8週後には有意に改善し、「体が重く感じる」は改善傾向が認められた()。

図. アスタキサンチン摂取による疲労度の変化

(菊地恵観子氏提供)

 摂取前後のクレアチンキナーゼ(CK)値の変化をみると、プラセボ群と比べてアスタキサンチン群で8週後に有意な低下が見られた。また、アスタキサンチン群では問診での「筋肉痛がひどい」のスコアとCK値には関連が認められた。

 以上の結果を踏まえ、菊地氏は「アスタキサンチンの摂取は運動による疲労を軽減することが示唆された」とし、「アスタキサンチン群ではプラセボ群に比べて『疲労の回復が遅い』『体が重く感じる』と回答した選手が少なかったことから、アスタキサンチンはアスリートの疲労回復に寄与する可能性が示された」と考察した。

(あなたの健康百科編集部)

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