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高血糖を治療しないと8倍危険―腎機能の低下

 2019年09月20日 06:00

 糖尿病患者では腎臓病を併発しやすく、重症化すると透析を余儀なくさせられることもある。公立豊岡病院(兵庫県)内分泌・糖尿病内科部長の岸本一郎氏らが豊岡市の特定健診データを解析したところ、同じ程度に高血糖(HbA1c 8.0%以上)の人でも、治療を受けている人に比べ、受けていない人では腎機能が低下するリスクが8倍以上高いことが分かった(糖尿病 2019; 62: 347-354)。同氏らは、該当者に「8倍危険」と呼びかけ、医療機関の定期受診を促すことを検討している。

腎機能低下のリスクは糖尿病1.9倍、高血圧2.1倍

 岸本氏らは、2012〜15年の4年間における豊岡市の特定健診受診者(40〜74歳)のデータを解析して、腎機能低下と関連する因子を明らかにすることを試みた。腎機能低下の定義は、血清クレアチニン値が1.2倍以上になった場合とした。

 初年度(2012年)の受診者5,169人のうち109人(2.1%)が4年の間に腎機能が低下した。解析の結果、糖尿病があると1.9倍、高血圧があると2.1倍、腎機能が低下しやすいことが分かった。脂質異常症は腎機能低下と関連していなかった。

 糖尿病がある場合には、HbA1cが高いこととHDL-Cが低いことが腎機能を低下させる危険因子であった。

 血糖値が高い未受診者は定期通院を!

 さらに糖尿病については、治療を受けている人と受けていない人に分けて検討したところ、HbA1cが8.0%未満の場合は治療の有無で腎機能低下に差がなかったのに対し、8.0%以上の場合は無治療群の方が腎機能低下の発生が明らかに高率で、8.15倍リスクが高かった()。

 図. HbA1c 8.0%以上の場合における腎機能低下のリスク

 

(豊岡市民への受診勧奨リーフレット)

 岸本氏らは「腎臓病予防の観点から、血糖値が高い未受診者に定期通院をしてもらうことが特に重要。高血糖を放置することの危険性を市民に呼びかけていきたい」との考えの下に、これらの研究結果を端的に示したリーフレット()を作成。該当者に届けて、医療機関の定期受診を促すことを検討している。

(あなたの健康百科編集部)

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